見出し画像

あまりにも無邪気に君が笑うから

小学校からの幼馴染の結婚式だった。
結婚式はいわゆる「スタンダード」なもので、余興の動画があったり、チャペルで指輪の交換があったり。花嫁からのお手紙があったり、ファーストバイトがあったり。なんの滞りなく、水が流れるように進んでいくその神聖な儀式を、わたしはぼーっと見つめていた。

前日も仕事が山積みだ、という言い訳を提げて、バタバタとアクセサリーや服を選び「それなりに」見えるように自分を整えて。朝は予定時間のギリギリに会場に到着した。

もともと私はあまり結婚とか興味がある方ではなくって(もちろんしたい!って思う時もくるかもしれないけれど)、だから「結婚式をするよ」と言われた時も、頭の片隅では「ああ、こんなのだめだなあ」とモヤモヤしつつも、正直「うーん遠いなあ。」なんて失礼なことを思っていた。だめだね。

昔から、結婚というものが分からない。というよりも、何故そこまでみんながしたがるのかが、私には分からないのだ。
「結婚すごい良いよ」と言われるそれは私の本棚の「この漫画面白いから読んだ方が良いよ」と並列にいつも置かれていて「いつかは」と思いつつも、気づけばこの年齢になってしまった。

それでも今回君の結婚式でシャッターを切りたくなってしまったのは、あまりにも嬉しそうに泣いて、無邪気に喜んで、幸せそうに、祈るように。こんなに1日を愛おしむ君をはじめて見たから。
その笑顔を、わたしはちゃんと閉じ込めておかなければ、と思ったから。


母への手紙や動画で感動して、ぐすぐす涙を流してしまうような、可愛らしい人じゃなくてごめんなさい。私は昔から、あんな風に結婚式で泣ける人たちが本当に羨ましい。

いつか自分の中にある「結婚」が、今の本棚を抜け出して、別の戸棚に収まる日がきたら。きっと私もあれこれ余計な事を考えずに、素直に結婚式が受け止められるかもしれない。

とても素敵な1日でした。今後の人生がとても幸せなものでありますように。

いつもありがとうございます。いただいたサポートの一部は書く力の原動力のおやつ代、一部は日本自然保護協会に寄付させていただいています。