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広報活動に欠かせない「根気」の話

私のいる会社では、ありがたいことに最近、広報への理解や期待をもらうようになってきた。

社内からは「発信したいが、アドバイスが欲しい」「こんなトピックがあるので発信して欲しい」などと言われ、社外からも(これまでよりは比較的多く)取材依頼をいただくようになった。
注目が高まるタイミングでちょうど広報メンバーが1人入社したため、雑な引き継ぎになりながらもなんとか、3ヶ月ほどやってこれた。めまぐるしくて、非常にあっという間だった。

社内で広報へ期待をもらえるのは、とても嬉しいことである。これまで、5年にわたりあまり注目してもらえず、評価をもらえる実感がなかったからなおさらだ。
ただ、文字にすると当然に感じるだろうが、「広報への期待は、必ずしも広報への理解ではない」ということを痛感した3ヶ月間にもなった。


期待するからこそ、ギャップを持つ

広報が何を考え、何を対応をしているかは、想像以上に社員に伝わっていない。いろいろ理由はあるが、主に以下の理由に集約されると思っている。

●広報は経営視点に基づき動くことが多く、従業員視点で大事なこととは重なりにくい
●広報は情報を集め客観的視点を高めているため、見立てが合わない
●広報は倫理観が大事になるなど、人としてのスキルと被り、特別なことをやっている感が湧きにくい
●そもそもあてがわれる人数が少なく、理解されにくい分、やり方を開示する機会も少ない。広報自身も、必要がなく開示しなくていいと思いがち

上記と一部重複するが、以下のnoteにも、理解されにくい理由をまとめたので是非ご覧いただきたい。


私の会社でも、「取り組んだことの事実を数行送れば発信してくれると思っていた」「なぜ取材前の事前準備(想定回答)を広報に見せないといけないのか」「広報のフローがわからない」などを、つい最近、まさに言われたばかりだ。

これらは、「広報」という概念に対して期待があるからこそ、余計に違和感として抱いてしまうようである。

上記は手法の話だからまだしも、中身に当たる「会社の捉え方」がずれる場合もある。そうなると、広報で会社の見せ方を整えようとするその内容に関して疑問を持ってしまう。
会社として重要な人物で、会社に思い入れを持ってくれているならなおさら、この違和感をそのままにしてはならない。ビジョナリーな組織づくりをしている会社はこんなことは起こりにくいかもしれないが、そうではない会社はおそらく起こる可能性があるのでお含みおきいただきたい。


社員を主人公にするのが広報

そもそも、会社はなぜ広報を置き、広報活動をやっているのだろうか。

社内広報視点に限って言うと、最終的には、社員を「主人公」にするのが広報だな、と感じている。
(経営の安定のために、メリットを社員に還元し、さらに経営が安定する。加えて、社員のメリットから優秀な人材に選ばれるようになり、経営をさらに安定させる。というのが経営視点でのロジックである。なお、この論にはマーケティングの要素は含めていない)

広報は自分一人では何もできず、ものがあってはじめてそれを輝かせることができる。ものを輝かせるため、広報は黒子に徹し、輝きを演出する。すべては社員を主人公にするため。

ここで、広報視点では矛盾が発生しやすい。先述の通り、社員は「広報に対してギャップを持ちやすく、広報を理解しにくい」のに、広報はこの社員たちを輝かせて主人公にしていく仕事だからである。

社員、ひどい場合は社長にすら理解されないことすらあるだろう。そんな中、広報は経営のため、会社のため、社員本人のため、それらを輝かせる必要がある。一方で、広報は、立場や視点をわかってもらえない悲しさと戦うことになる。


広報の苦しさの吐き出し方

これまで書いてきたような状況は、残念ながら決して珍しいものではない。理解されなくても、傷ついても、失礼だと思っても、広い心で受け流す。そして社内外の誰にどう見られ、会社がどう見られ、自分が広報としてどう見られるかしっかり気にしながら、会社の看板を背負って発言する。
そんなストイックさも必要になってくる。広報は、社員を主人公にし、経営に貢献するような、会社の価値を上げる存在だ。

広報は本当に孤独だし、愚痴の一つもいいたくなるのはものすごくわかる。
ただ、愚痴を言うタイミングと場所、そして愚痴を言うにしても表現を考えないと、といつも思っている。

自分の発言ひとつで会社の状況を感じ取られ、印象を変えてしまうのは、広報担当その人としてのスキルを疑われる。愚痴や悪評しか言わない広報は、その時はよくても、例えば転職活動などの際に「自社の愚痴を垂れ流す」広報担当として見られ、他社に望まれにくいはずである。
私も、広報として転職活動をした時に、「職場のネガティブな状況をどう伝えるかは、広報として転職したいなら気をつけた方がいい」とアドバイスをもらったことがある。

コツとして、「ある程度状況が落ち着いてから振り返りとして発信する」「ポジティブに言い換えられないか心掛ける」「うかつにネットには書かず、限られた信頼できる人へオフラインで話を聞いてもらう」などが有効だ。

これまで書いてきた通り、広報をやり遂げるのには、果てしなく根気が必要となる。ただ、やり遂げた時にその根気は、どこかで絶対に活きるはずだ。
私も、自社内で広報への期待が増したとはいえ、まだまだ根気を求められる場面が多い。この後の広報理解をもらった世界を見て、さらに広報を探求していくために頑張っていきたい。


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