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北京ドタバタ旅行(59)

 いい加減待ちくたびれたころ、やっとガイドと両親が戻ってきました。私は中の様子が分かりませんが、カメラを母に渡していましたので、数葉の写真を納めたようです。

 

 さてそれではお昼ご飯に行きましょうということになったのですが、運悪く、土産物屋の前を通ったのです。それは綿菓子を買って欲しいと言い続る子供が綿菓子屋の前を通りかかったようなものです。

 誰が子供かというと、父です。父は基本的に薄っぺらい大人の分別の直ぐ下に、綿菓子をほしがる子供の心をそのまま持っている人ですので、綿菓子をほしがらないわけがありません。この明の十三稜の土産物屋に綿菓子は売っていませんでしたが、ポケットがたくさん付いたチョッキが売っていました。これが父にとっての綿菓子でした。

 前にも言ったとおり、欲しいものが先にあって、財布のことが頭にありません。値段も人民元で250元などと書いてあります。父は1元が日本円でいくらすると言うことは中国滞在中ただの1度も聞きませんでした。あれが欲しいから買って欲しいということを言い始めました。土産物屋になぜ人迷惑なチョッキが売ってあったのかよく分かりませんが、どう考えても高いに決まっています。

 だいたい250元というのは日本円で3000円以上します。しかも物価が約10分の1の中国で3000円というのは、日本で言えば3万円ほどの値打ちがあります。チョッキ1枚に3万円も出す人がいるでしょうか?
いえ、いたのです。父です。

 「後でこうたるから」
などと関西弁でなだめすかします。まるで子供そのものです。話をおもしろくするために書いているのではありません。子供は本当に次のようにだだをこねました。
「今、欲しい・・・・・・」

 しかし、有り金は残念ながら、全額息子の財布に入っています。無視して車に乗り込むことにしました。父も多少分別もあり、地面に寝ころんで足をばたばたすることはしませんでした。

北京ドタバタ旅行(60)

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