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ノラ編集者の、「初めて」補給法。

 朝や赤ちゃんやお正月が尊く思えるのは、そこに「初めて」が含まれているからだと思う。

初雪の日、「真っ白!」に喜んだのもつかの間。たちまち踏み散らかされ、足跡だらけになってしまう道みたいに、自分の「初めて」は、毎年、どんどん、減っていく。だからみんな子どもとか、若いお姉ちゃんとか、新しい服とか、ささやかな「初めて」を自分に注入するのかもしれない。

2018年、ノラ編集者としてうれしかったのは、「初めて本を書く人」のお手伝いがたくさんできたこと。

現代アーティスト、元刑事、アスレチックトレーナー、写真家。

個性はみんな違うけれど、みなさん、本の世界にやってくるのが「初めて」の人たち。編集者としてささやかなお手伝いができて、しあわせだった。不安定なフリーランスで、ルーティンじゃない仕事ができるのは、おそらく、かなり、ラッキー。たぶん、これがヨボヨボのノラ編集者が「初めて」を補給する方法なのだと思う。

すでに売れている有名な人。インフルエンサーによる「確実に売れる本」。そういうのを手伝うのも、すごいなあ、かっこいいなあ、儲かりそうだなあ(笑)と思うけれど、「初めて」のどきどきは、もっと楽しい。

大人気のラーメン屋さんの、とぐろを巻いた大行列の先っぽに並ぶより、「本日開店」の誰もいないお店に飛び込んで、「まずいかうまいか大冒険!」というラーメンが食べたい。口中やけどをして、皮がベロベロめくれるかもしれないけれど。

引き続き「初めて」を補給したい2019年。初めて本を書く人、探しています。


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