答え合わせでしか共感できない。
今後自分が漫画を描く上で、すごい大事になりそうな事に気付いたので書きます。
ぼくはしばらく意識高い系だったので、ビジネス書とか熱心に読む時期がありました。ビジネス書は典型だと思うんですが「これオレが思ってた事だ!」という言葉にばかり感銘を受ける。
まさに「共感」というやつです。正確に言うと「思ってたけど言語化されていなかった事が顕在化される」ので共感とは少し違うかも知れません。「共鳴」というか、外的要因によって心の中に沈殿していた気付きが浮き上がるイメージです。「オレも思ってた」より「オレの中にもあった」って感じです。
逆に、自分に全く無い発想に共感する事ができるかと言うと、案外無いんじゃ無いかと思って。本を読んで「新しい発想が得られました」というのは、なかなか無い。
漫画「左ききのエレン」で人気のキャラクター「柳」は、その辺りの共鳴を発見するのに役立ちました。柳はデザインを信仰しているクリエイティブディレクターで主人公を徹底的に追い詰める悪魔のようなキャラクターです。
そんな彼は、読者に嫌われようと思って描いたんですが、すごく人気が出ました。悪役に人気出るのは嬉しい誤算ではありますが、その時に「みんな心の中に柳が居たんだ」と思って驚きました。
柳は、ぼくの中にも居た悪魔で、クリエイティブに対して舐めた事言ってる若者に対して異常にサディスティックになる悪魔で、自分に対しても徹底して厳しく、ある種の理想的なクリエイター像でした。柳になり切れれば、きっと良いものは作れる。だけど人間性は失われる。そういうジレンマをずっと抱えていました。
こういった自己矛盾こそが、キャラクター造形に役立つんじゃ無いかと思いました。
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