祝「左ききのエレン」TVドラマ化!で、読者だったらここ気になるよなって話

ぼくは4年前サラリーマンで漫画の事なんて何一つ分からなかったし、読者としても大して多くの漫画を読んでいる人間ではありませんでした。ただ、ドラマや映画は大好きでした。(エレンのジャンプコミックスにも毎回、キャラクターが好きな映画について語るコーナーがあります。)どちらかと言うと、映像にたくさんの影響を受けてきた人間です。

だから自分の作品の映像化は嬉しいし、同時に厳しい目でジャッジしたいと思っています。映像が好きだからこそ「自分が読者側だったら、ここが気になる」という話を書きたいと思います。

漫画の実写化で議論が白熱するポイントに「役者を漫画に寄せるか否か」があると思いますが、ぼくは基本的に「表面的に寄せるべきじゃない」と思っています。ちょっと込み入った話になりますが、お時間あれば聞いて下さい。

そもそも、漫画のキャラクターには(その漫画のトーンによって大小あるにせよ)読者がパッと見で視認できるための工夫が施されています。「デフォルメ」とか言うやつです。髪型などの外見もそうですし、口癖なども漫画向けにデフォルメします。

実写はリアリティラインが自ずと現実に寄るため「ちょっとキャラ付けをする」という塩梅がかなり変わるはずです。ちなみに、エレンの髪色は公式でも決めてません。(銀髪の時もあるし、茶髪の時も、青色の時すらありました。)前髪がクロスしているのとかも、漫画ではアリだと思って描いていますが、ぼくは現実で前髪がクロスしている人を見た事が無いので、製作陣に最初に伝えたのは「エレンの前髪はクロスさせないで下さい」という要望でした(笑)実写の中で上手く見えるデフォルメ度合いがきっとあるはずで、それは漫画通りでは無いと、ぼくは考えています。

ただ一方で「原作から変える必要が無い所は変えないで下さい」とも伝えています。変えるからには、必ず意味があるはずなので。なので、ドラマの楽しみ方として原作との相違点を「なんで原作通りにやらないんだ!リスペクトが足りない!」と観るのでは無く「どうして変える必要があったのか?変えた事でどんな効果を得たのか?」という視点で楽しんでもらうと良いんじゃ無いかと思います。余談ですが、ぼくは原作ありの実写化は、そうやって楽しんでいました。「なるほど、こういう効果に期待して変更したんだな…やるな…」みたいに観ると楽しいです。

ぼくが常々ファックと思う改変は(常々ファックって凄い語感ですね)芸能事務所の忖度みたいな、この役者を目立たせたいからみたいな、そういう改変です。それはファックでしか無い。でも安心して下さい、エレンのドラマは深夜枠です。ゴールデンじゃありません。誰もうっとおしい事を言ってこない環境で作れています。(製作陣にとって、うっとおしい奴がいるとしたら、ぼくです。)

そして、キャラクターの思想も、漫画ではデフォルメされます。エレンに登場する佐久間威風というキャラクターは、割と現実に寄っているエレン世界において「思想のデフォルメがキツイ(少年漫画)」キャラとして描いています。あれは「ジャンプの主人公が現実に居て、漫画と同じセリフを言ったら、それは怖いよね」という考えから生まれたキャラです。それくらい思想ですら漫画向けにデフォルメされるものだと思っています。

佐久間威風に限らず、ニューヨークでのエレンなど、とにかく「左ききのエレン」は、現実に割と寄ったリアリティラインが基準にありつつ、そこから少年漫画にグッと寄せるとどうなるか、みたいな事をたくさんやっている漫画です。で、それが実写になるとリアリティラインは更に現実に寄るので、その上でチューニングしないといけなくなります。「世界の基準が変わるなら、全体を再調整すべき」だと思っています。

他にも「漫画を実写化するなら、こうすべき!」と思ってる事は山程あって、それを製作陣にもお伝えして密にやり取りさせて頂いているんですけど、ちょっとあまりにも長くなり過ぎるのと、昨日緊張で一睡もしてないので、この辺にしておきます。まだ、主演2人のビジュアルしか公開されていないので、ビジュアルについて話せたので十分かなと思います。

とにかく「これは行けるぞ」と思いながら、鋭意製作中という事だけお伝えしておきます!!!楽しみだー。

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