「左ききのエレン」を描くのは悲しい

最新35話のネタバレが結構入ってしまったので、未読の方は注意してください!)

「左ききのエレン」は昨年3月末の連載開始から、10ヶ月経ちました。

単行本に換算すると、もうすぐ6冊分のボリュームです。

10ヶ月漫画を描き続ける事が初めての事なので、初めての気持ちを日記のように書き残しておきます。


悲しい

去年末から、ずーっと「悲しい」という気持ちで描いてます。これから終わらせにかからないといけない悲しさです。

広告代理店のスラングに「手離れ」という言葉があります。案件自体は進行していくんだけど、自分の手は離れるタイミングを指します。「あとは営業が調整するから、クリエイティブは手離れだね」みたいな使い方です。

「左ききのエレン」の完結は、当初からずっと言い続けてるのでネタバレにはならないと思いますが、まだもう少しかかります。8巻か9巻くらいで完結します。(いま4巻まで出てます。もうすぐ5巻。)

ただ、少しづつ「キャラクターの手離れ」がはじまりました。映画で言うと「クランクアップ」というか「これが、このキャラクターのラストシーンだ」というものです。


キャラクターのクランクアップが悲しい

ちょっと感情的になりがちなので、あえて思い切りドライな話をしてバランスを取ると、「左ききのエレン」はぼくが関わった案件の中で、最長の長期案件です。広告の仕事は長くても半年くらいだと思います。その間、ずーっと続くものでもなく、動かない時期なども度々あります。漫画は毎週、全力で進んでいくので稼働の密度も最も高い案件です。

ちょっと気持ち悪いかもですけど、最近は描いてると泣いてしまいます。いわゆる泣けるシーンじゃない所で泣きます。キャラクターがはしゃいでるシーンとかで涙が出てしまう。手離れがこんなに悲しいのは初めてです。

前半戦は「どうキャラクターを生むか」みたいな「生」を考えていたんですが、後半戦は「どうキャラクターを終わらせるか」みたいな「死」を考えなきゃいけません。死っていうのは、必ずしもストーリー的に死ぬとかでは無いです。完!という意味です。

キャラクターには、それぞれ背負ってる性質があります。例えば、ルーシーというキャラクターは「自分が凡人だと言う事を最も前向きに肯定する」という性質を背負わせています。柳というキャラクターは「すべてを道に捧げる」という性質を背負わせています。

そのキャラクター毎の性質が一番輝く瞬間に、終わらせたいと思ってます。その事を考えると泣けて仕方がないです。


伏線を回収するたびに悲しい

また、キャラクターだけで無く、物語も死(完!)に向かい始めました。具体的に言うと、大きな伏線を回収するターンに入りました。

自分の中で伏線は「遠いー近い」で分けて考えています。数十話を経て回収するのが遠い伏線で、数話で回収するのが近い伏線です。

数十話を経て回収する伏線は、ちょっとやそっとじゃ読者が覚えていてくれないので、大きなインパクトのあるシーンにする必要があります。具体的には、各話のタイトルになっているレベルのシーンです。

「私は努力を信じない」とか「主人公じゃないんだって」とかです。

最新話で回収した「バンクシー」と「横浜のバスキア」のシンクロは、相当大事だったので「横浜のバスキア」は第1章のサブタイトルになっています。あと、ニューヨーク編の冒頭でジェイコブスを「バスキアの再来」とする事でリマインドもしました。ここまでやって忘れられてたら、もう仕方ないってくらいに。

あと、これは反省ですが、ここまで描いて「場所」というものが物凄く大きな鍵になっていると気付きました。画力が追いつかずに場所の描写を疎かにしてしまった事を悔やんでます。場所が描写できれば、もっと高度な伏線が張れたなって。これは次回作へ活かします。

話を戻すと、最新話の「横浜のバスキア」など最大級の伏線を回収した時に「ああー、終わるなー」って実感して悲しくなる。(くどいですが、実際はまだまぁまぁ続きます。)


やっぱり悲しい

キャラクターがクランクアップしていく悲しさは、もうどうしょうも無いので、とにかく気合い入れて描き尽くしてやる他ありません。最高にカッコよく描いてやるぜ!的な気持ちで乗り越えるしか無いです。伏線は回収しないワケにはいかんので回収するしか無いです。というか、結局どの悲しさも描くしか無いです。凄まじい自己完結ですが、悲しいけど描くしか無いから描く、みたいな話です。途中で止まる方が億倍悲しい、っていうかエグいので。描きますけど。

でも、たった1年でもこんなに悲しいのに、長期連載の漫画を描いている漫画家の方はどれほど悲しいのだろうかと思って、これまた涙腺が刺激されます。ぼくが青春をともにした「るろうに剣心」は、今年新章がはじまります。北海道編。楽しみすぎてチビる。

いつもながら取り留めも無い話でしたが、とにかく今思ってる悲しさについて書きました。

今後、以前の話を受けて回収する、アンサー回のようなものが幾つか出てくるので、ぜひ過去話も読んでください。一部、無料で読めるフェアやってます。

左ききのエレン

https://cakes.mu/series/3659

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かっぴー

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コメント2件

作品が終わっても、キャラは頑固に生きてたりします。命ふき込んじゃったから、どこかで一生、生きてますよ。きっと。
勝手に、かもしれませんが、場所の伏線は脳内でしっかり回収されてたりします。
キャラクターたちが伝えてくれる空気の裏には、しっかりと背景が場所がありますよ。意図してなくしていたのだと、これを読むまで思ってました。
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