チャンスは機嫌が良い人にだけ訪れる。

今日の話は若干説教臭くなるので、わざわざ書かなくてもいいかなと思って寝かせていたのですが、自分自身も勉強になった事が多いので書いてみようと思います。

僕自身、非常に運に恵まれた人間という自覚があります。運がすごい。どれくらいすごいかと言うと、いま「左ききのエレン」TVドラマやってますよね。それと同時に、朝日新聞に「左ききのエレン」が掲載され、同時に「左ききのエレン展」が始まりました。その誤差は1日くらいで、ほぼ同時。これって、はたから見ると「よく調整したなぁ、合わせてきたな」って印象だと思いますが、この3つとも、マジで偶然にタイミングに重なったんです。ドラマやるって発表する前に来た話だから、クライアントが合わせに来た訳でも無く、本当に偶然。「オレ、持ってるわ」と思うことは日々ありますが、この時はぞっとする程でした。

こういう事もあるから運命を信じる、と言ったら大げさですけど、少なくともバタフライエフェクト的に、何かの大きな因果関係の中で生かされている実感が常々あります。で、今日の話なんですけど。

プライベートで何度か会った事のある知人が「かっぴーがいつまで経っても仕事をくれない。」的な事を愚痴っていたと聞きました。正直びっくりしてしまって、思いもよらぬ事でした。というのも、本当にプライベートの知人でしたので、ぼくはその方のオフしか知らないし、どんな表現者なのかは、ほとんど知りませんでした。「ほとんど」というのは、フェイスブックとかでたまに仕事を投稿していたので若干は知っていたんですけど、まさか僕に仕事を依頼して欲しがっているとは微塵も思いませんでした。

まさしく「その発想が無かった」という状態。と言うのも、ぼくは基本的に誰かに発注する様な立場に無いからです。確かに一見すると、メディア化とか広告案件とか、大勢の方々が関わるプロジェクトをやっていると見えるかも知れませんが、ぼくはただの原作者なので、スタッフィングやキャスティングに口を出す事は極めて稀です。しかも、あくまで「原作者なので意見が言える」くらいなもの。どうしてもこの方に関わって欲しいと思う時は、自分が直接その方にご連絡をして、製作委員会なりプロジェクトチームにご紹介させて頂く、みたいな事はありましたが、それは異例です。

原作者というのは、恐らく製作陣からすると「さわらぬ神」的な存在で、あんまりでしゃばると製作陣のモチベーションとか色々破壊してしまうと考えています。その代わり、嫌な時は明確に「嫌です」と言いますが。

この前提というか、原作者の立ち位置は、業界人なら誰もが知っている事だと思います。原作者は、原作者に過ぎない。なので、その知人が僕に発注を期待していた事は、本当に発想の外でした。

これら全て間接的に聞いた事なので、何か誤解があるかも知れないと思い、念のため連絡してみたんですが、案の定連絡が返って来ませんでした。ここまで書いたので当然ですけど、ぼくは一度たりとも「今度仕事しましょう」とか軽はずみな事は言っていません。これは広告代理店時代からの習慣で、当時はガチで発注権がある立場(アートディレクター)だったので、期待させる様な事は絶対に言ってはいけないと先輩からも教えられていましたので。

というか、せめてハッキリと「こういう仕事があれば、ご一緒したい」みたいな要望を伝えて欲しかった…。あるいは「あの人を紹介して欲しい」とか。ぶっちゃけ、その方と仕事の話をした記憶が無いので、せめて言葉にして伝えてくれていたら…と非常に残念です。

で、ここからが本題なのですが。そんな凹む事件があった翌日、とあるプロジェクトをやる事が決定して、まさにその方にピッタリな仕事が発生したんです。そして、その主催者の方にも「誰か良い人居ませんか?」と言ってもらって。

これ、もう本当にツライ話というか、イソップ物語みたいに残酷な教訓にぶん殴られた気持ちがして。その方がもし返事をくれていたら、素晴らしいタイミングでご紹介出来たんですよ。まさに運命的に。やっぱり、チャンスの神様は機嫌が良い人にしか微笑まないんだなと。いつも機嫌良くして、期待せずに、謙虚に過ごす事の重要さというか、少なくとも僕は絶対にそうしようと決めました。運命って、恐ろしいんだと思いました。

思い返すと、ぼくも世間一般で言う「すごい人・えらい人」に会った時に、どこかで期待してしまう気持ちに覚えがあります。この人がぼくに何か素晴らしい事をしてくれるんじゃなかろうか、みたいな。すごい人が、更にすごい人を紹介してくれるんじゃないかしら、すごい仕事をくれるんじゃないかしら、とか。でも、その期待する気持ちって恥ずかしいとも思うんです。その期待する気持ちが生まれてしまう事は仕方がない事だと思うんですが、それはあくまで期待なので、一方的なものなので、それが増幅して相手を悪く思うのは…何と言うか、徳が低い行いだと思うんです。

月刊マガジン向けに、もっと踏み込んだ話をします。逆に、誰に発注権があるのか?を考えたら仕事増えるよ的な。

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