124「死者の書」折口信夫
133グラム。表紙の写真は無念の死をとげた大津皇子の墓がある二上山である。知らずに見ると普通の山だが、神がかった少女には、落日の瞬間この山越しに素晴らしいイケメンが見えた。イケメンのうえに、でっかい。
『死者の書』の読み頃は冬である。そして新月、部屋の電気を消せば真っ暗になる夜がいい。布団に入って読む。そして電気を消し、布団にすっぽりくるまって、浸る。
彼の人の眠りは、徐(しず)かに覚めていった。真つ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、