IP(知的財産)になる作品と、ならない作品の違いとは?
はじめに
こんにちわ!
小説プラットフォームBookBaseを運営しています、オタクペンギン(社長)です。
ウチみたいな小説などのコンテンツ系の仕事をしていると、IPという言葉をよく聞きます。
IPとは、Intellectual Property(インテレクチュアル プロパティ)の略称でいわゆる知的財産のことです。まぁこれは法律的な解釈で、コンテンツ業界だと『版権』とかって言ったほうがわかりやすいですね。
言ってしまえば、マリオとかミッキーマウスみたいなキャラクターとかがIPと言われるもので、IPとしての価値が高ければ、キャラと他の商品をコラボさせることで宣伝になったりしますし、元々漫画だったものをゲームにしたりなどの他メディア展開ができます。
基本的に、IP化すれば広告で使用したときにライセンスとして稼げます。これが実はものすごく稼げて、軽く調べて見るだけで世界で稼いでいるキャラクターや作品がかなりあるのがわかります。
もちろん、これほど稼げなくてもIP化すれば、作品だけで直接稼ぐよりも大きな利益を生みますし、作品が広がるきっかけにもなります。
が、このIPについては、どんな作品でもIPとしての価値が出るわけではないです。
特に近年は、作品の多産多死化が進んだこともあり、IPになりきれない作品も増えています。
このIP化ができる作品とできない作品はなにが違うのか。
今日はそういうことを考えてみたいと思います。
例によって、これらの考えは僕の独断と偏見です。
数字に基づいているわけでもないですし、主観でしかないですので、正しいかどうかは知りませんのでお気をつけください。🐧<ペンギンの言うことだからね。しょうがないね。
IP化できなかった作品の共通点を考えてみる。
IPになっている作品っていうと、ゲームとかが多いイメージですけど、意外とそんなことはないんですよね。
近年だと、例えばアイアンマンとかで有名なMARVELとかは実写映画からですし、ハリーポッターとかは児童文学。日本だと、アンパンマンとかもIPとしてはめちゃくちゃ根強いですよね。他にもゴジラとかウルトラマンみたいな特撮なんかもありますよね。
もちろん、映像やビジュアル化されているかどうかという点では、ビジュアル化されていないものはIP化はほぼできないと思います。
作品としては有名ですが、『人間失格』とかIPとして使用されているかというと違いますね。どっちかというと、太宰治の方がIPとしては利用しやすそうですし。
では、IPになりにくい作品とはどういうものなんでしょうか?
まずはジャンル的にIP化難しい気がするものを並べてみます。
①実写ドラマ
国内の連続ドラマとかですね。
ここは結構IP化できてる例は少ないのではないかと思います。
強いて言えば、相棒とかかなり長く続いている作品はIPにできそうですけど、そうではないものはIPとして使うイメージはあんまり沸かないですね。
②純文学系の小説
これは先程上げた『人間失格』とかですね。
小説のカテゴリのなかでは、かなり根強い人気がありますが、映像やイラストなどのヴィジュアル化がされていないものはIPとして使いづらいですね。
③Webtoon
これについては、まだまだこれからという分野でもあるんですが、本場である韓国でも問題になっているという話はよく聞きます。
実際、一人の読者としても思いますがWebtoonは作品を読んでいても主人公の名前とかを覚えなくても読めてしまえるコンテンツだからこそ、というのもありますね。
楽しむ敷居を下げることで、IPとしての価値がなくなるみたいなロジックがありそう……?
④Web小説
これはウチが小説プラットフォームをやっているからこそ感じていることですが、Webで人気になった小説でもIPにまでなっている作品はかなり少ないですし、そもそもIP化しづらいところがあります。
理由としては、ジャンルとしての力が大きく、作品自体が多産多死のモデルにあるので、読者のなかに残りにくいとかがあります。
そもそもWebサイトを利用する読者さんたちが、アイコニックな作品を求めない傾向にあり、そこに応えないとランキングに乗れない力学が働くなどもありそうです。これはWebtoonでも同じことが言える気がします。
もちろん、上にあげた作品群のなかにはIPにまでなっている作品は多々あると思いますが、あえて大きな切り口で考えてみました。
そもそも論ではありますが、IPとなるにはそのキャラクターが生まれた原作自体が人気にならないと、IP化自体始まらないという問題もあります。
そして、作品はヒットしているが、そこからIPとなって原作の枠を飛び出していくかどうかは、さらに階段が存在するという感じですね。
では、ここからはさらに掘り下げて、IP化しやすい作品を創るためにジャンルではなく、作品やキャラクターが持つIP化しにくい要素を考えていきましょう。
IP化しにくい要素
①アイコニックなヴィジュアルが存在しない
これはかなり致命的ですが、やはり広く伝播するためにもキャラクターや作品のアイコニックさはすごく大事ですよね。
IPにまでなった作品は、作品は知らなくてもキャラクターは知っているということが起こりえます。逆にいえば、キャラクターを見てなんのキャラかわからないとなるとIPとして広げるのは難しいです。
②ファンタジー要素が少ないリアルベースの作品やキャラクター
これは①の掘り下げになる気がしますが、アイコニックさがどこから生まれるかを考えていくと、リアルではない。というのが一つある気がします。
Webtoonとかの主人公やキャラクターがIPになりにくい理由は、そもそものデザインが8等身をベースにしたリアルよりのものというのがあるように思います。
リアルであればあるほど、当然差別化はしにくいですし、他の作品や媒体に馴染ませにくいみたいな問題もあるので、リアルな世界観の作品やキャラクターはなかなかIP化のハードルが高くなるということは有り得そうですね。
この点、ジャンプ系の漫画はうまく調和したアイコニックさを持っているような気がします。
アイコニックであることは、IPとなる上で大事なわけですが、アイコニックってなにかというところを突き詰めるといろいろ面白い気がします。
例えば、必殺技があるかどうかとか、決め台詞やわかりやすいアイテムがあるかなどですね。
小説がIPになりにくいところは、そもそもヴィジュアルなどのアイコニックさを取りに行く作品づくりがされにくいなどもあると思います。
単純に言ってしまえば、アイコニックさは同ジャンル内における差別化要素ではありますが、これが簡単にできないのが作品作りなんですよね。
ゲームがIPにおいて強い理由
さて、ここからは逆にIP化しやすいものってなんだろうを考えたいんですが、なんだかんだポケモンとかマリオとか、ゲーム出身のキャラクターは強いですよね。
特に2000年以前に出たゲームのIPとしての強さはもはや語るまでもないですが、これらがIPとして世界にまで波及できた理由はなんでしょうね。
一つの理由にコンテンツを楽しむ上で『言語に依らず楽しむことができるコンテンツである』というのがあると思います。
ファミコン時代のソフトをやるとよくわかりますが、あの頃のソフトは言語ほぼないんですよね。そもそもデータ量の限界があったので、できる限り説明や言語に頼らずに楽しんでもらう必要があったはずです。
マリオなどのキャラクター造形についてもそうで、ドットの世界で『マリオ』を『マリオ』として認識してもらうためには、アイコニックなデザインにするしかなかったというのが、逆説的に今のIP化につながっているような気がします。ゲームではないですが、ミッキーマウスのシンプルな造形も似たような事情がありそうな気がします🐧知らんけど。
まとめ
さて、そろそろ文字数が大変なことになっているので、いい加減まとめに入ります。
ここまで書いておきながらなんですが、IP化については狙ってできることかというとそうでもない気がします。今IPとなっている作品も狙って作られたわけではないですしね。
ただ、IPとして作品を広げる僕らのような存在は考えておく必要がありますし、逆に『こういう作品ばかりを世に出しているとIPによるビッグヒットは出せないだろうな』という警鐘の意味合いが近いかなと思います。
IP化する上で重要なのは、アイコニックさであり、アイコニックであるというのは『今までの作品やキャラクターとは違うもの』であるという異質さから生まれるものです。
最近、作品を売る側の人たちの間でもデータ分析や逆説的な思考のなかで次世代コンテンツを生み出そうとする傾向が顕著に感じますが、IPやコンテンツはどこまでいっても予測不可能なプロダクトアウトから生まれるものであり、計算され尽くしたキャラからではなく、むしろ地面に書かれた落書きから生まれるものじゃないかなと思います。
コンテンツを生み出し、広げる仕事をする上で『前例もなければ、データもないですし、当たる保証もないです。だけど、面白いと思うんですよね』という考え方がまかり通る業界になればいいなと思います。
そういう会社を一つでも増やせるように、弊社も頑張っていきます。
もし、これを読んでなにか一緒にやりましょう!という方はお気軽にTwitterとかにご連絡ください。
では、ご拝読ありがとうございました!
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