7月8日にスウェーデン大使館で「北欧文学サロン」開きます


はじめに

2018年秋に発足した北欧語書籍翻訳者の会。

北欧語の翻訳とひとくちに言っても、純文学、ノンフィクション、ミステリ、児童文学、絵本、はたまた映画など、様々な分野を手がける仲間が集まっています。

そんなわたしたちがイベントを企画する理由はただ一つ。

もっと北欧文学の魅力を知ってもらいたい!

まだまだマイナーな北欧文学ですが、最近は邦訳される作品も増えています。どのジャンルを覗いても、人間の生き方を模索し、北欧らしい目線で未来を見据えたものが多いように感じます。

そんな北欧文学の魅力を知ってもらうために、日々「ああでもないこうでもない」とイベントの企画を練ってきました。もう本当に伝えたいことがありすぎて……。

結局3時間という枠の中に4つのセミナーを詰め込むことになりました。

第一部、第二部とも、ふたつのセミナーのうちどちらかを選んでチケットをご購入ください。各セミナーとも定員があります。

日時:2019年7月8日(月)17:30~20:30(17:00開場/17:30開会
会場:スウェーデン大使館

第一部(18:00~18:45)
A か B を選びます。
【セミナーA】
スウェーデン・ミステリフェスティバル特別コラボ企画
【セミナーB】
映画・絵本に見る北欧社会と難民 

第二部(19:05~20:05)

C か D を選びます。
【セミナーC】北欧の性教育・フェミニズム
【セミナーD】『あるノルウェーの大工の日記』公開読書会

※詳しい内容は下記の説明をご覧ください。

今回のイベントは、ご来場者の皆さまと直接触れ合える場所をイメージして「北欧文学サロン」と名付けました。イベントの前後、休憩中、セミナーの質疑応答の時間などは、ぜひぜひ皆さんのお声を聞かせてくださいね。

サロンと名付けたからには、こういった趣旨のイベントを定期的に開催したいという願いもあります。どうか皆さま、応援よろしくおねがいします。

チケットの購入はこちらから→ Peatix

皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!

文責:久山

今回の実行委員・登壇者:久山葉子、スコウ・リセ、種田麻矢、中村冬美、服部久美子、枇谷玲子、藤野玲充 (あいうえお順)

★★★

第一部


【セミナーA】スウェーデン・ミステリフェスティバル特別コラボ企画

 毎年11月にスウェーデンのスンツヴァルという街で開催されているスウェーデン・ミステリフェスティバル。スウェーデンおよび北欧の人気ミステリ作家が多数登壇する、3日間のフェスティバルです。

 わたくし翻訳者の久山葉子はそのスンツヴァルに住んでおり、第一回目のフェスティバルから毎年のようにフェスティバルに参加しています。最初はいちミステリファンの聴衆として会場に足を運んでいましたが、3日間熱心にメモを取るオタクぶりが委員会の目に留まり、2015年からは実行委員となりました。それ以来、経理責任者としてフェスティバルの運営を担っています。

 2016年には記念すべき出来事がありました。なんとスウェーデン・ミステリフェスティバルの歴史始まって以来初の、日本人の観客がいらしたのです。それが、6ヶ国語でミステリを読むのが趣味の服部久美子さんでした。

 今回は服部さんとわたしの二人で、スウェーデン・ミステリフェスティバルのレポートを行いたいと思います。

 邦訳されている作家さんだけでも、これまでに数多く登壇されました。

マイ・シューヴァル、オーサ・ラーソン、ヴィヴェカ・ステン、ホーカン・ネッセル、エメリー・シェップ、ラーシュ・ケプレル、アンナ・ヤンソン、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム他、

 実行委員だからこそ見られた(?)作家さんの素顔など、「ここだけの裏話」なども披露します。

 スウェーデン・ミステリフェスティバルは今年の11月に7周年を迎えます。今回はコラボ企画として、今年のフェスティバルに登場する作家さんたちへの感想も募集いたします。ミステリの講演にご参加いただいた皆様には会場で用紙をお配りしますので、日本語(英語も可)で感想を書いていただければと思います。久山がそれを翻訳し、責任をもって作家さんにお伝えいたします!

対象作家:アンデシュ・ルースルンド、アンナ・ヤンソン、クリスティーナ・オルソン、イルサ・シグルザルドッティル、トーヴェ・アルステルダール、アルネ・ダール、ホーカン・ネッセル、エーネ・リール。

 皆さまのお越しをお待ちしております!

                ★

【セミナーB】映画・絵本に見る北欧社会と難民

 スウェーデンの短編映画『Refugee 532(原題:Flykting 532)』を中心に、この作品の字幕を担当した翻訳者が映像翻訳や字幕についてお話しします。

 『Refugee 532』は、ボスニア出身のゴラン・カペタノビッチ監督が手がけた作品で、トーキョーノーザンライツフェスティバル2019で上映されました。(映画祭では、同監督の長編作品『マイ・アーント・イン・サラエボ(原題:Min faster i Sarajevo)』の回で同時上映されました。)主人公は、ボスニア紛争によってスウェーデンに逃れてきた12歳の少年です。14分と短い作品ですが、難民として異国の地で過ごす厳しさや戦争によって引き起こされる残酷な現実が描き出されています。そのような作品の字幕を作る過程で、北欧で生活する難民を取り巻く環境について知ったことや感じたことを共有したいと思っています。権利の関係もあり、当日の上映は一部のみとなりますが、実際の字幕を見ながら、映像翻訳の楽しさや難しさもお伝えしたいです。

 いくつかの映画に触れたあと、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの難民に関する絵本をご紹介します。他のヨーロッパ諸国同様に、難民問題と直面している北欧が描く絵本を読み解くことで、現地の子どもたちや次世代がどのように難民や移民の厳しい状況を学んでいるかを知ることができるでしょう。また、そのような難しい問題に親子一緒に向き合うための手がかりも見いだせるかもしれません。
 私たち翻訳者も難民問題の専門家ではありませんので、まだまだ不勉強で分からないことがたくさんあります。さまざまな作品を通して現実を知り、戦争によって日常の暮らしを失った人たちの状況や未来について、ふと立ち止まって考えるきっかけになればと思っています。深刻なテーマのように思われるかもしれませんが、構えずに聞きに来ていただけたらうれしいです。

★★

第二部

【セミナーC】北欧の性教育・フェミニズム

 昨年、NHKあさイチの性教育特集が話題になるなど、性教育のあり方について、議論が高まっています。

 本分科会ではまず2018年に出された名著『教科書にみる世界の性教育』(かもがわ出版)に書かれている日本の性教育の課題をご紹介した上で、日本の性教育の現状について参加者の皆さんからのご意見、情報を募ります。

世界の性教育

 さらに今年出版予定のデンマークのYA向けグラフィック・ノベル『心の嵐/嵐の心』(仮題)を編集中の晶文社・松井智さんから、思春期の心と体をテーマとした本作に見られる、多角的な性教育の仕掛けをご紹介します。

『心の嵐/嵐の心』と『セックスって何だろう』(仮題)
(いずれも晶文社より出版予定)原書と著者写真

 続いてスウェーデンのコミック『禁断の果実 女性の身体と性のタブー』の邦訳の編集をされた花伝社の編集者、山口侑紀さんから「いま『禁断の果実』を筆頭にスウェーデン・フェミニズム・コミックが熱い!――編集者の視点から」という演題でお話いただきます。

禁断の果実

 また昨年『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』を翻訳した翻訳者の枇谷玲子から、北欧の性教育、またフェミニズムについての児童書も少しご紹介いたします。

ウーマン・イン・バトル――自由・平等・シスターフッド』原書(合同出版より7月発売)

 フェミニズム・性教育に関する活動をしている参加者の皆さんの告知タイムも設けますので、ご希望の方は事前にお知らせください。


【セミナーD】『あるノルウェーの大工の日記』公開読書会

 『あるノルウェーの大工の日記』(中村冬美&リセ・スコウ共訳)は、まさにノルウェーの本物の大工、オーレ・トシュテンセンさんが書いた、日記エッセイです。



あるノルウェーの大工の日記 オーレ・トシュテンセン氏

 淡々とした 語り口には、職人としての誇りと仕事に対する愛情が溢れています。この本を書籍にかけては目利きのプロである、5人の書店主さんたちが、自分たちで作っているラジオ番組の読書会で取り上げてくださいました。https://honya3.org/ 時にはゆるりと、時には熱く語り合う書店主さんたちの話があまりにも面白く、ぜひとも北欧文学サロンにお呼びして、公開読書会としてやっていただこうと思いました。


双子のライオン堂



H.A.Bookstore

 大工さんと書店さんの職人魂がぶつかり合い、どんな化学反応を起こすでしょうか。本書を中心に、書店主たちが北欧文化、日記文学、フリーランスの世界を掘り下げる、『あるノルウェーの大工の日記』の読書会、どうぞいらしてくださいね。本屋の店主がオススメの北欧の本としごとの本も紹介します。

 冬の物語    波止場日記   読書の日記    四人の交差点

以下は書店主さんのひとり、ライオン堂の竹田氏からのメッセージです。

店主の読書会@番外編
『あるノルウェーの大工の日記』@スウェーデン大使館イベント

 このたび、スウェーデン大使館で開催される北欧文学サロンの中で、小さな本屋の店主が集まって日々の生活や本の話をするwebラジオ「店主の読書会」の番外編をお送りすることとなりました。
 「店主の読書会」は、東京の小さな本屋の店主が月に1回集まり本の話をするwebラジオです。
 普段は、一つの課題本やテーマを決めて、各店主が好き好きに感想や雑談をしています。
 今回は、以前に放送した『あるノルウェーの大工の日記』の読書会が大変盛り上がったため、その延長戦を行います。
 違うようでどこか似ている?  日本の書店主とノルウェーの大工さんの話をお聞きいただければと思います。

*『店主の読書会』とは……

 H.A.Bookstoreの松井氏、親子絵本専門ナヌークの白熊氏、書肆スーベニアの酒井氏、Readin’ Writin’ BOOK STOREの落合氏、双子のライオン堂の竹田氏の五人。もともと本屋仲間として仲の良い店主たちの集まりで、ある時みんなでラジオコンテンツを始めよう、だったら本を読んで話しあう読書会がいいね、というきっかけから発足したものだそうです。

※大工の読書会は、録音録画をする可能性があります。なるべく観客の皆様は映さないようにいたします。

★★★

お問い合わせ:nordiclanguages2018@gmail.com

主催:北欧語書籍翻訳者の会


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