ダンス

わたしの感受性は親しい人のお下がりで成り立っている。
言葉一つ上げようにも、すでに目を通した誰かの受け売りが並ぶ。

調子は幾らか戻ってきた。
朝を知らせるラジオで目覚め、定期の食事と適度な睡眠サイクル。
昼夜逆転の悪循環からは抜け出しつつあって、何もない時間を暇だと認識できるくらいに戻ってきた。

5月。
新たな月の始まりを何となくで入力した『ダンス』の文字。
過去の様々な顔がシルエットになる。
わたしは踊ることに夢中だった。
横で踊るあなたが誰であろうと。

「わからない」をずっと告げられなかったミニマルテクノを聞き直す。
一人の存在は見失った後にも、見失ったからこそ強烈に残る。
今日は夜ふかしをしよう。

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