見出し画像

年末ですね

今年ももういよいよ終わりですね。

毎年この時期になると、決まって聴くのがユニコーンの『雪が降る町』。

画像1

彼らが出した、通算8枚目のシングル。1992年の暮れにリリース。
他の曲も大好きだが、特にこの曲には、ある種の魔力がかかっていると言っても過言ではない「何か」があった。

この曲を初めて聴いたのは中学3年の時。

当時、すでに録音技術はデジタルに移行しつつあった時に、あえてアナログオープンリールテープで録った…などオンエア時のラジオでは謳っていたり、そういった要因も当然あるっちゃあるんだろうけど、僕自身としてはそれよりもなんか、この曲に秘められたもっと特殊な空気感というか、まさにクリスマスでも年始でもない、「年末」を極めて純度の高い状態でパッケージングした、市井のせわしない人の群れが目の前に一瞬で想起させられるような、当時の他の楽曲には決して出せない "地に足ついた感" を曲の中に覚えた。

トレンディなラブソングたちが主流のなか、ユニコーンや電気グルーヴは自分の中で「身の丈にあった」音楽として常に側にあった。

特にユニコーンは、当時はまだ20代後半くらいだったろうに、既にもうある程度の「枯れた」目線を持っており、世間の主流に対し俯瞰的に見つめる「達観したお兄さんたち」の印象を中学の時からよもや印象として存分に醸し出していたから、こういった "シングルなのに変化球のような曲を出す" のも「あーわかる」といった感覚で捉えていたし、それを抜きにしても名曲だな、という印象は素直に抱いていた。

ただ、この曲が初めてラジオでかかった時に、僕が覚えたこの曲に秘められた「最大の魅力」がその当時はわからなかった。
その思いを抱えながらも、わからないまま時は流れて(トレンディなフレーズだ 笑)、後年就職した音楽コンテンツの制作会社で同僚とその話になり、盛り上がった時に突然 "わかった"。

奥田民生氏が冒頭で歌う「だーかーらー、きらいだよー」と歌うときの『だー』の部分。
先述の、自分が覚えた "独特の空気感と最大の魅力" の正体はこれだった。

イントロのSEでも楽曲展開でもアンサンブルでもなく、この『だー』が、もう見事に奇跡の響きというか、年末特有の市井の賑わいと気だるさをすべて包括しているのだ。

この事実に気づくのに、初めて聴いてからゆうに10年くらい経っていたけど、わかった時は全ての伏線回収ができたような凄い感覚に陥った。
だから、どんな人がカヴァーしても、原曲を初めて聴いたときのような境地にはたどり着けない。
他に名曲はたくさんあれど、この曲だけで、ユニコーンは奇跡のバンドだったんだな、と心から思わされる。

そんなことを思い出しつつ、今年も変わらず『雪が降る町』を聴きながら、年末の感覚を存分に味わいます。

p.s.カップリングの『お正月』も名曲。

貴重な時間の中 読んでくれてありがとうございます。 「スキ(いいね)」は非会員ユーザーさんもできるので、 押してくれるとすごく励みになります。 そしてぜひ大阪に来た際は COPY HOUSE へ!🏡