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『風邪引くなよ』って言いたかった

市場に行った帰り、スコールが降ってきた。

上だけレインコートを羽織ったものの、下はグレーのスラックスの色が変わるほどびしょ濡れに。太腿に張り付いて気持ち悪い。

水たまりを避けながら足早に歩いていると、100m先の教会の屋根の下で雨宿りをしているルワンダ人の子どもたちが「NORI〜〜!!」と叫んで手を振ってくれてる。

よく近所で遊んでる子たちだ。

「Mwiriwe(Hello)!」と叫んで手を振り返すと、そのうちの2人が雨の中を猛ダッシュで駆け寄ってきた。

ひとりは空気が抜けてぺちゃんこになったバスケットボールを頭に載せて傘代わりにしてる。もちろんふたりともびしょびしょ。

「Nori!!」

「Amakuru (How are you)?」

「Ni meza(I'm fine)!!」


それだけかよ。

そんなにびしょ濡れになって――。

バイバイを言って走っていく背中越しに、「風邪引くなよ!」って言いたかったけど、ルワンダ語で何て言うのか分からなかった。

2ヶ月前は「Muzungu (外国人)!!」って呼ばれて、それから「Ubushinwa (Chinese)!!」になり、「Umuyapani (Japanese)!!」になり、最近は誰だか知らない子どもたちにまで「Nori!!」と呼んでもらえるようになった。

子どもたちの名前覚えたいけど、ルワンダネームは複雑過ぎて全然分かんないんだよ。ごめんね。

びしょびしょになってまで駆け寄ってもらえるほどのこと、まだ何もしてないよ。


何が出来るかな。

せめて雨風が凌げる程度のバスケットボールぐらいはプレゼントしてあげたい。

そして、30分前の自分。

たぶん「風邪引くなよ」は「Witonda ibicurane (Be careful cold)」

…かな。

タケダノリヒロ(@NoReHero

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