芸歴とカリスマ性との深い関係(その2)。早熟の2冠、野田クリスタルと粗品に期待したいこと

 千原ジュニア、千鳥、麒麟・川島……。前回名前を挙げた上記の彼らに芸人として特別な雰囲気を感じるのは、何も筆者だけに限らないと思う。

 千原ジュニアはともかく、千鳥や川島の活躍が際立ち始めたのは比較的最近、ここ5年くらいの話になる。もちろん以前からそれなりに露出は多かった方だが、それでも両組とも、この数年間で一気にドンと増えた。そうした印象がやはり強い。その急激な右肩上がりの分、視聴者に与えたインパクトも大きかったはずだ。最近では現在活動休止中の松本人志さんの代役的な仕事も目につくなど、他のライバルたちと比べれば、頭ひとつかふたつ完全に抜きん出た状態にある。

 まさに千鳥、川島の時代と言ってもいい。そんな大物感漂う彼らより先輩か後輩か(もしくは同期か)は、筆者にはとりわけ大きな境界線に見える。その絡み方や接し方に芸人としての立ち位置やカリスマ性が見え隠れするとは前回述べた内容になるが、今回もその続きをもう少し述べてみたい。

 前回名前を挙げたのは主に40代以上のいわゆるベテラン芸人たちだが、今回はそこから少し時間を進めた若手に触れてみたい。

 ここ数年で頭角を現した、筆者が最も目に付いたカリスマ性漂う芸人。その筆頭は誰かといえば、個人的にはマヂカルラブリー・野田クリスタルをおいて他にいない。ご承知の通りM-1グランプリとR-1ぐらんぷりの2つのタイトルを獲得した2冠の芸人。加えてキングオブコントの決勝にも2度進出した、お笑い界で唯一トリプルファイナリストの実績を持つ現代を代表するスター芸人のひとりだ。

 近年は複数の賞レースで審査員を務めるなど、いまや押しも押されもせぬトップクラスの芸人となった野田クリスタル。その実績もさることながら、初めてその存在を知った際、個人的に目を奪われたのは何を隠そう、特異性溢れる彼の芸人人生だった。

 吉本興業に所属した(デビューした)のは2003年。16歳の時にはもうすでにプロとして活動を始めていたという、千原ジュニア並みの早熟の芸人である。当時組んでいたコンビではM-1の3回戦(現在の準々決勝に相当)に進出するなど、若くして将来を期待させるような実績も残している。その辺りの経歴はマヂカルラブリーがM-1で優勝した直後(2021年の上半期ごろ)に本人が様々な場所で語っていたので、とりわけこちらの記憶には鮮明だ。

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