ウーマンラッシュアワー・村本大輔が断然、格好良く見える理由

 僕はお笑いが好きだが、コントと漫才で言えば、どちらかと言えば、漫才の方が好みになる。漫才のなかでも、役に入り込む漫才、いわゆるコント漫才より、素のままのお互いが掛け合う“しゃべくり漫才”の方が、個人的には惹かれるものを感じる。

 「これぞ漫才っていう(ものを)、久しぶりになんか見せてもらった、感じがしましたねえ」

 2年前のM-1グランプリ2019決勝、そのファーストラウンドで史上最高得点を叩き出したミルクボーイ。採点直後、彼らのネタに対してコメントを求められた審査員・松本人志さんは、いかにも感嘆した様子で、絞り出すように上記の台詞を述べた。

 「これぞ漫才」。なかでも個人的に印象に残るのはこの部分になる。漫才のド真ん中を行くような、いわゆる王道のしゃべくり漫才。そんなネタを披露したコンビに、それこそ満点に近い最高の得点がつけられた。「これぞ漫才」とは言い得て妙だと、松本さんの言葉に納得させられた。

 その翌年、M-1グランプリ2020で優勝をはたしたマヂカルラブリーは、そんなミルクボーイとは全く異なるスタイルのネタを披露した。多くの人が思い描く従来の漫才とは大きく異なるマヂカルラブリーの漫才に対し、まさに視聴者が面食らった格好だった。ミルクボーイとは、言ってみれば水と油。大会後、「あれは漫才なのか?」と言う論争が巻き起こるなど、色んな意味で話題をさらったことは記憶に新しい。

 過去2大会のM-1王者は、全く異なるタイプのネタをするコンビだった。今回は果たして、どんなスタイルのコンビが優勝するのか。今年のM-1で注目すべき見どころのひとつだと僕は思う。

 12月5日に放送される「THE MANZAI 2021 マスターズ」(フジテレビ)も、そうした視線を傾けると、なかなか興味深いものに見えてくる。なかでも筆者が最も楽しみにしているコンビは、ウーマンラッシュアワーをおいて他にいない。少々思い切って言えば、彼らのネタを見るために僕はこの番組に目を向けるといっても過言ではないのだ。

 M-1グランプリが中断していた期間(2011年〜2014年)、漫才のコンテストとして開催されていた「THE MANZAI」。その出場したコンビの中で一番こちらの印象に残っているのが、「THE MANZAI 2013」で優勝したウーマンラッシュアワーになる。「キングオブコント」が輩出した一番のスター芸人をバイきんぐとするならば、ウーマンラッシュアワーは、「THE MANZAI」が輩出したナンバーワン芸人。そう言い表しても差し支えない。

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