マガジンのカバー画像

オタクパパの映画レビュー

137
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

日没から日の出までと銃夢

日没から日の出までと銃夢

映画館の椅子でひっくり返ったのは後にも先にもその時だけだ。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』。クエンティン・タランティーノ脚本、ロバート・ロドリゲス監督のおしゃれな(はずの)犯罪映画。タイトルの通り、日没から日の出までの短い時間の出来事を描いた映画だ。当時20代だった僕はタランティーノ映画を楽しめる自分をイケてる映画ファンだと思っていた。

僕だけじゃない。そのとき隣の席で『フロム・ダスク・ティル

もっとみる
美しい映画 リトル・フォレスト

美しい映画 リトル・フォレスト

魅了された。その映画の美しさにである。
簡素な美しさという点では、僕が44年の人生で観た中で一番美しい映画だった。
リトル・フォレスト 夏・秋/冬・春
橋本愛さん演じる「いち子」が「小森」という東北の田舎の村で暮らす1年を丁寧に追った映画。
1時間×四季という変わったフォーマットの映画だ。
ストーリーはほとんどない。
通常の映画なら、ドラマとドラマの間の繋ぎシーンに過ぎないささやかな出来事、ささや

もっとみる
嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

嬉しいのに泣けるとき・SFに学ぶ感情

『スタートレック7・ジェネレーションズ』を20年ぶりに観た。
この映画は長い歴史のあるスタートレックの、ファーストシリーズとセカンドシリーズをつなぐ役割を持つ。
ファーストシリーズは23世紀が舞台。テレビドラマを3年間やったあと、6本の映画になった。
セカンドシリーズは24世紀が舞台。キャストを一新してテレビドラマを7年やった。
そしてこのジェネレーションズが、スタートレック映画の7作目であり、セ

もっとみる
凛とした少女 アリータ・バトルエンジェル

凛とした少女 アリータ・バトルエンジェル

エンドロールが終わって席を立とうとした瞬間、顎が疲れているのに気がついた。
映画中、奥歯を噛み締めていたらしい。
アリータに感情移入して没頭した2時間だった。

宣伝を見る限りは「よくある」映画だ。ハリウッド大作、マンガ原作、SF、最新の映像技術、バトル少女もの……などなど。
全てはミミタコの宣伝文句。だけどアリータはその全てが上手く噛み合った奇跡的な映画だった。
まずは作りが丁寧だ。
日本の90

もっとみる