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卒業した子たちの言葉を届けたい

こんにちは。今井紀明です。僕は普段、若者が希望を持って生きるコミュニティーをつくる認定NPO法人D×Pの代表をしながら、不登校や高校中退を経験した10代の子たちと接してきました。7年以上事業を作ってから経つと、最初に関わっていた子たちが24、25歳ぐらいになっており、突然感謝されることが多いです。

「面接の練習をした時が懐かしいです」

「のりさん、東京で就職しましたよ!」

「あのとき、海外に送ってくれたから今の私があります」

ここで言葉をもらったひとりひとりのことを詳しくは書けないですが、なかなか接することが最初は「一般的には難しい」と思われる10代でした。会話を全くしない、ひきこもっていて僕やスタッフ以外と関わったことがない、学校に数年以上行っていない、親がいない、生活保護を受けている、大人のことを信用していない、など様々な経験をしてきました。

「一般的には難しい」とは書きましたが、とはいえ僕は全くそんな風には思ってはいませんでした。どんな子にもその人なりのおもろい部分を隠し持っています。いつも関わりを作りながら思うのは、どのタイミングでいつそれを見つけることができるかな、と。たとえば、鉄道でもいいかもしれない、ゲームがうまいことかもしれない、絵がうまいことかもしれない、海外に興味を持っていることかもしれない。本人がそれが出てくるタイミングはいつも楽しいです。「え、それ好きなのか!」「まじかよ!」みたいな部分が出てくる。

ひきこもりの子ども、不登校の子どもは何を考えているのかわからない、どう接していいのかわからない、と言われていますが、僕は彼らの持っている潜在的な能力はなんだろうといつも考えています。ゲームでいえば、彼らはまだ冒険に出ていないレベル1の状態。でも、光るものをたくさん持っています、それは魔道士かもしれない、戦士かもしれない才能。誰がどのバロメーターが伸びるのかが全くまだわからない状態。でも、だから伸び代があります。

そして、大抵そういったレベル上げには「好きなこと」というのが大切になってきます。「好きなこと」で好奇心があり、それが外に出たり人に会う恐怖心よりも大きいものになってくると自然と彼らは動き出します。それで「好きなこと」で出会った人からまた学び、出会い、新しい好奇心が生まれていきます。

冒頭で言葉をもらった3人の子も当初はまったく20代で生きているのかわかりませんでしたが、今は楽しんで生きているようです。

卒業生たちからの言葉は様々な人が自分のリソースを割いた結晶


D×Pは若者が希望を持って生きるコミュニティーをつくっていますが、10代とつながる場を作り、彼らの興味に合わせてつながりを継承させていきます。これまでゲーム関連の会社やIT、製造業など様々な企業さんにも就職やインターンなどつなげてきていますが、2018年度までには4000名を超える高校生たちと関わってきました。

ちょっと冒頭の話に戻りますが、そんな中で既に高校を卒業した子たちからももらえる言葉というのは本当に嬉しいと思います。

「ちょっと仕事大変だけど、がんばっているよ」

「漁師の仕事、大変だわ」

今はLINEとかツイッターでも繋がっているから連絡がきます。そういう瞬間、この仕事をしていてよかったと思うと同時にスタッフや授業に参加してくれているボランティアさん(D×Pではコンポーザーといい現在300名いらっしゃいます)、そしてサポーターさんに伝えたいな、と思います。

言葉をもらったときに一番その子と関わったのは僕かもしれないけど、そうでもないことの方が大半です。スタッフみんなで関わった生徒も多い。D×Pの学校現場は「クレッシェンド」という単位認定をされている授業が1〜2ヶ月あったりするところからスタートすることが多いのですが、そこはボランティアさんやスタッフが5〜7名ぐらいになりチームを組んで1クラスに入っています。また、D×Pの予算はほぼほとんど寄付でなりなっているため、事業はスタッフだけではなく、様々なサポーターやボランティアさんと一緒に作ってきている。

だから、そういった言葉を共有したい、と。僕だけのもらった言葉ではなく、様々な立場の人が自分のリソース(時間、もの、お金etc)を割いてきた結晶なのだから。それが結果的に10代の子たちの未来をつくる手助けをしています。

サポーターやボランティアさんも一緒に事業を作る仲間。ボランティアさんもひとりひとりのD×Pの事業への参加時間は年間かなりの時間数に上るでしょう。サポーターさんからは去年の寄付だけでも5000万円を超える寄付をいただき、一緒に事業を作っています。

この「一緒につくる」という感覚をこれからも大切にしていきたい。感謝をする、だけではなく、一緒にやっていきましょうよ、という未来に向かうこと。


D×Pへの寄付も嬉しい!  http://www.dreampossibility.com/be_our_supporter