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「つながりをつくる」は私たちが持っているリソースを10代に引き継ぎ、彼らのものにしてもらう継承の仕組み

僕がいつも不登校や高校中退の子たちに対してしていることは「つながりをつくる」ということ。それは僕以外の頼れる大人や職場、もしくは住む場所でもいいかもしれない。3人、もしくは3箇所以上の居場所、頼れる人などができることによって人は安らぎや安心感を感じて、前向きに様々なことを考えていけると常に思っているからだ。

前回は「否定せずに関わる」の実践方法を書いてみた。

今日は「つながりをつくる」をどう実践していくのかを考えたい。

僕は「支援」というスタンスでサポートをしていない。D×Pの携わる生きづらさを抱える10代の支援を「こども若者支援」と言われることが多い。福祉分野の支援など、制度に従った専門家による支援などはもちろん必要だと僕は思っている。ただ、支援という言葉を使うことで「支援から遠ざかる人」が多くなるだろう、と。支援を受けたくない、もしくは「支援される側」と「支援者」になってしまうと支援ができない矛盾が現場では生じてしまうだろな、と思っている。

特に10代の生きづらさを抱える子たちに関わろうと思うと、それは多くなる。虐待などや生活保護などの法制度上の支援は必要なのだが、大抵の場合、不登校や高校中退の子たちはそれ以外のことを求められていることが多い。

A「通信制高校には通っているけど、学校に通う必要性ないし、家にひきこもり状態になっている。将来が不安だ」

B「家にひきこもってゲームしているだけ。楽しいけど、生きている意味がわからない」

C「アルバイトをやめ続けている。続けられない。学校にも所属していないし、別にやりたいこともない」

D「家で何もしていない。絵を描いているだけ、通信制高校も面白くないから通学しなくなっている」

E「(定時制高校の高校生)働いているけど、将来この方向性に進んでいいのかわからない。先生には相談したくない」

精神的な疾患を抱えている10代の子もいて通院もしていることもある。が、それ以外のケースは将来が見えず、現状の状態からどう抜けることができるかわからない、もしくはその希望や気力すらない、という状態が大半だ。そういったときに支援よりも「つながりをつくる」ということを実践している。

わかりやすいケースでいえば、例えばBの場合はLINEで話すうちにオンライン面談して、事務所にも来るようになった(それだけ、まだ体力が残っていた)。そこで話すうちにゲーム攻略会社を紹介し、好きなゲームを元に働くようになった。また、この子は不登校の経験が長かったため、D×Pの「クレッシェンド」のプログラムのボランティアにもなってもらい、そこで大人たちとのつながりを作った。スタッフや様々な社会人ボランティアの方と仲良くなった。友達もいなかった状態から、つながりを作り、動き出すまでに1年。最初は僕としか話せなかったが、多くの人とつながり、今は働いている。

Eの場合は、働かざるを得ない家庭的な状況があった。友達は小学校4年生から中学校まで不登校だったためいなかったが、高校に通うことで少しだけできた。先生のことは嫌い。とにかく話したくない。バイト先の大人も嫌い。とはいえ、将来にやりたいこともないため不安。そんなときに僕とつながり、スタッフにも話せるようになり、最初はネイルが好きだったので、ネイルをやってみた。スタッフの紹介でネイルを仕事をする人と会ってみる。職業にしようと思ってがんばってみるが、ネイルは自分でも検定などで得られるし、保険のために別の資格も取ろうと思い、ある専門学校に通い始めることを決意した(ここまで3年)。今は通って仕事をしながらネイルも、そして専門学校での勉強している。

(BもEも脚色しています)

これらのことは高校だけの資源では問題解決できないことが多い。教員もかなり業務過多で学校が持っているボランティア、企業、人などのリソースが乏しい。もしくは就職担当の先生が持っている、特に高齢の方が持っていたそういった外部リソース・ネットワークも若手に引き継がれることなく途切れているケースが多いため、細かなインターンや仕事の紹介なども紹介しにくかったり、高卒就職の仕組みも邪魔をしている(高卒就職に関してはいずれ書こうと思う)。

そんな中でD×P、僕たちがやっていることは「つながりをつくる」だ。

BもEも僕や僕から引き継いだスタッフが起点になって企業や人を紹介されていって時間はかかるのだが、結果的に彼・彼女たちが自律的に進路を決めていっている。僕たちは「否定せずに関わる」を実践し、信頼関係を長い時間をかけて作りながら、そのあとは僕たちが持つリソースを紹介していくのだ。人、企業(職場見学、インターン、スキル研修、就職)、ボランティアやイベント、部活動、手伝い、別のNPOがやっているサービスや居場所、全てだ。その子が必ず必要そうな頼れる場所、もしくは将来を描けるような経験を作り出すための様々な体験。そういったものをつなぐことが「つながりをつくる」ことなのだ。

無論、制度上必要な支援を受ける必要性がある10代には医療機関や福祉関係につなぎ、引き継いでもらうこともある。僕たちの強みはそこではないと思っているからだ。D×Pの強みは「否定せずに関わる」を実践するスタッフが30名弱、ボランティアである「コンポーザー」さんが300名を超えており、リアルな学校現場にもいたりオンラインでの相談を受け入れられていること。それによって10代と出会い、「つながりをつくる」を実践していくことができる。支援の狭間でなかなか支援に出会えない、支援をされたくない10代の高校生たちと「つながりをつくる」ことができる(※現状ではボランティアさんからの紹介はリスク管理上、難しい)。

しんどい子どもたちは孤立している。もしくは小さなつながりはあるが、今日生きるつながりだけで、将来につながる社会的なつながりがない。貧困が話題になっているが、途上国と違い日本やそれ以外のアジアの国の先進国もより孤立やつながりの無さは課題になっていく。そして、子どもたちが家庭にも居場所がない、学校にもない、友達もいない、などひきこもりを加速させてしまうような社会の環境がより幅広く影を落としていく。

私たちはその状況を改善させ、課題解決をしていきたい。この「つながりをつくる」は様々なリソースにつなぎ、結果的にそれが本人の就職や進学、もしくはそれ以外の道につながっていくことを目指していくことにつながっていく。3人、もしくは3つ以上の居場所をつくることで、最初に繋がった人にだけ依存することから徐々に離れて自らの居場所や信頼できる人を作っていく。

「つながりをつくる」は私たちが持っている様々なリソースを10代に引き継ぎ、彼らのものにしてもらう継承の仕組み。そういったことから自律が生まれ、希望を持って生きれるようになっていく始まりになっていくのだ。



次のnoteでは、認定NPO法人D×Pがどのように経営されているのかを書こう。

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