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仕事の成果を引き出す昔話

昔、あるところに、ヤギのミルクを売り歩く小さな少女がいました。
少女が住む国は砂漠も多く年中灼熱の国です。
そんな国の大きな町で、ミルク壺を頭にのせて、売り歩くのが少女の仕事でした。

今日も厳しい日差しの中、歩きに歩く少女でしたが、のどが渇いて仕方なくなってしまいました。
「今日はこれだけ歩いたのにミルクが全く売れないわ」
「今日の稼ぎは得てはいないけれど、いっそのこと壺のミルクを飲みたい」
生活の糧に手を付ける誘惑に駆られる少女でしたが、ふと立ち止まって、思いつきを得ます。
「そうだ!やっぱり飲むのは我慢してミルクを売りましょう」
「飲むのを我慢してお金を貯めるの。貯めてもう一頭ヤギを買うわ。そうすれば、売る分のミルクと自分の為のミルクが毎日手に入るじゃない」
少女はまた歩くうちにふと思いました。
「そうだヤギが二頭になっても、自分の為のミルクは我慢することにしましょう」
「それなら、一日の稼ぎが今の2倍になるかもしれない」
「収入が2倍になったらきっとすぐにお金が溜まるわ。そうしたら3頭目も4頭目もすぐに買うことがきっとできるわ」

少女は明るい未来にどんどん想像を膨らませていきます。
そんな少女の目の前を、町一番の美男である町長の一人息子が通りかかり、少女に会釈をすると、そのまま通りすぎていきました。
「お金が溜まったら、今よりもうんといい服を着てミルクを売るわ」
「そうすれば、あの方ともきっと結ばれるはず」
少女はまた、明るい未来に心ときめかします。
「子供は2人くらいきっと生まれるわね」
少女は大きな屋敷の1部屋で、幼い息子が呼ぶ声を聴きます。
「ママ見て」「ミルク売りの真似だよ」
「あぶないからやめなさい!」
少女が息子のほうを振り返った拍子に現実世界に戻ります。
振り向いた拍子に頭のミルク壺を落としてしまったそうです。

解説文
この物語の教訓はなんなのでしょうか・・・
そもそも、生きるとは「今を生きる」ということにほかなりません。
今、自分の目の前にあることをサボることなく、精一杯やる。
未来像、将来像を描く人は世に多くいるかもしれません。
あるいは「自分の未来はどうなってしまうのだろう・・・」
という漠然たる不安を抱えてしまう人も多いかもしれません。
しかし、そもそも未来とは何なのでしょうか?
あなたは未来を生きることができますか?
どんな人間も未来を生きることなどできません。
それを想像しているとしたら、それは具体性のない、単なる妄想です。
そんな具体性のない未来について、あれこれ妄想したり、心配して不安になっている
暇があるなら、もっと今を大事に生きることです。
結局は今という時間の連続が人の人生そのものなので、今、自分の目の前にある事柄について、サボることなく、精一杯やるしかないですね。

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