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おもちゃをめぐる話

子ども3人が幼いころ、そういえば、おもちゃ売り場に売っているようなものはほとんど買わなかった。
今となってはもう忘れてしまったが、一度、テレビで見たみんなで楽しめそうなものを買ったことがある。
けれど、すぐ壊れてしまった。
子どもたちがとても悲しそうな顔をしていたことだけは今でも忘れられない。
それで子どもたちもほしいとは言わなくなり、私たち親もおもちゃ売り場に足を運ぶことすらやめてしまった。

まだ次男も生まれてない頃のこと。
夫の母から長男に送られた戦隊シリーズの武器は、長女の同級生に取られ、ベルトの部分がハサミで切り刻まれて返された。
「しばらくしたら元通りになるから」と言われたらしい。
ひどいごまかしだ。
でも、そのとき、私はその子やその子の親に何ひとつ言い返せなかった。
家で長男と一緒に怒り、悔しがって、長男を抱きしめることしかできなかった。

音楽の自動演奏もするキーボードは、弾くよりも聞く方が好まれていた。

今も唯一残っているおもちゃが、ファービー。
きょうだい3人分買ったが、なぜか一体だけは残っていて、電池を入れると今も「ねむーい」といびきをかく。

おもちゃの代わりに身近だったのが、パソコンだった。
ペイントで書いた絵や、内蔵マイクで吹き込んだ歌。
もう30年も前のものなのに、データを保存したフロッピーディスクが大量に今も残っている。
ゲームもPC−98シリーズになぜか載っていたテトリスやコーエーの麻雀大会、シムシティ、上海にはじまり、ゲームCDのフレディフィッシュ、マルチあきんど、シムタウン、せかいぼうけんりょこう、ピクセルスクーター、ぷよぷよ、、、
フレディフィッシュは魚が海藻の種を探しに海のいろいろな場所をめぐるのだが、ところどころにしかけがあって、何度も何度も遊んでいた。
ウクレレのような物をかき鳴らしながら「ヨコハマ、はーまちゃん」と歌うキャラクターが出てきて、当時「はまちゃん」と呼ばれていた末っ子は横浜ベイスターズファンとなってしまった。
三つ子の魂百まで、恐るべし。

昨年長男に子どもが生まれた。
私はもうおもちゃ売り場に行くことはないだろう。


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