【喜捨】わたしのポケットバイブルより
最近読み返すことはないが、
私の中で強烈なインパクトを持って影響を受けた一冊の本がある。
『もの食う人びと』辺見庸 著
いっとき、はまり込んだように辺見庸氏の著作を読み漁り、原作の映画を観まくっていた。
キッカケはカッコいい役所広司氏の映画を観まくっていたことだ。
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『もの食う人びと』は、バックパックに忍ばせて世界中を旅したくなるような本だ。
その中で私が仕入れた数々の宝物の中で、今日ふと過ぎったのは、『喜捨』というワードだった。
『喜捨』
きしゃ、と読む。
読んで字のごとく「喜んで捨てる」という意味で、著者がバングラデシュへ旅した時の食の現場であったと思う。
本の出版自体が20年以上前の話であるが。
最貧国に入るその国では、『料理のリサイクル』が繰り返し行われる。
何かと言えば、
レストランなどで調理され、客に供された後の残飯が次の販売者の手に渡り、屋台などで再度販売される。
客もほかの店の残飯ということが分かった上でそれを買って食べる。理由は『安い』からだ。
一度のリサイクルなら、鮮度も保たれよう。
しかし、このリサイクルは一度にとどまらず、その料理が食べられるまでは(複数の意味で)リサイクル販売が続くのだ。(衝撃の残飯ビジネス)
最後の方では流石に臭いが出たりするのでその辺りの屋台にはハエよけや臭い消しの意味合いで大量の線香が焚かれているらしい。
『結婚式での喜捨』
結婚式で振舞われた豪華な料理は、余るとテーブルに乗せて玄関の外に置かれる。
貧しい人はそこから自由に料理を取り持ち帰る。
イスラム教にある『喜捨』という教えに基づくらしい。
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臭い消しの意味合いが強い線香。
その煙でハエは払えるのだろうか?
ふと、そんなことを考えた。
喜びの循環^^