TheBazaarExpress115、『ピアノはともだち~奇跡のピアニスト辻井伸行の秘密』青い鳥文庫版、あとがき

拝啓 辻井伸行様

 日本では山滴る季節となりました。

 今日はどこの旅の空ですか? 演奏会は順調に進んでいますか? お客様の反応はいかがでしょうか。各地で美味しいものを食べているのでしょうね。

 君の本を書かせてもらってから、5年の月日が流れました。あの頃君は世界での演奏旅行が始まったばかりで、いろいろな国の音楽祭や小さな街のコンサート・ホールで演奏を繰り返していましたね。

 それが今ではロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールやニューヨークのカーネギーホールなどで、世界の超一流の演奏家と肩を並べてコンサートを開くようになりました。

 二十歳の時のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでの優勝も素晴しいことだったけれど、その後の成長もまた素晴しい。新聞やテレビ、インターネットなどで君の活躍のニュースを目にするたびに、私は自分のことのように嬉しく思っています。

 そしてもう一つ、すごく嬉しいことがあります。 毎年9月13日。私は一通のメールを出します。「のぶくん、誕生日おめでとう。今年も素敵な演奏を聴かせてくださいね」

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