今日は寒天発祥の日、寒天の特許
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「今日は寒天発祥の日、寒天の特許」をお伝えします。
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1.寒天発祥の日
12月27日は「寒天発祥の日」だそうです。
寒天は昔からある食品ですが、なんと1658年にできたとのことです。
以下、伊那食品工業株式会社さんのHPより引用します。
「1658年頃のある冬のこと、京都の旅館『美濃屋』の主人・美濃屋太郎左衛門(みのやたろうざえもん)は、ところてんを外に置き忘れてしまいました。
ところてんは夜中の寒さで凍り、日中の日差しで溶けて水分が抜け、気が付くと干物のようになっていました。
それを見た太郎左衛門は、その干物のようになったところてんを煮溶かし、冷やし固めてみます。
すると、いつものところてんより匂いがしない、透き通ったところてんが出来上がりました。この干物が「寒天」です。」
そんな昔の出来事の記念日が分かるなんて凄いな~と感心しつつ、私は弁理士なので特許の話をしますね。
余計な話ですが、「美濃屋太郎左衛門」という名前も凄いです。
2.古くからあるものでも特許はあるのか
特許にも流行り廃りがありまして、その業界がいわゆる成長期に入る前から入ったときにかけては多くの出願がなされます。
そして、月日が経ち、業界そのものが斜陽産業となったときには特許出願の件数も減ります。
そういった意味では1658年発祥の寒天なんて、枯れまくっているのではと思われそうです。
しかし、そうでもないのです。今でも寒天に関連する出願はされています。
例えば、特許第7333980号があります。
これは、令和4年に出願されて令和5年8月に特許になっている案件です。
内容を簡単に説明しますと、「特定の弾力と粘度を有する低強度高粘性寒天」ということになります。
解決しようとする課題としては、「従来の寒天では作ることのできなかった弾力性と柔らかい食感とを備え、表面の経時的な離水が少なく、包材や歯への付着性が低減された高糖度寒天ゲル状食品を提供する」とあります。
従来は、ういろう、わらび餅、グミなどの高糖度ゲル状食品を、寒天を用いて製造しようとすると、食感が悪く経時劣化もするとのことでした。
この課題を解決したのが本願(特許第7333980号)とのことでした。
興味のある人は下記URLから文献をご覧になってください。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-7333980/BB5AFFC133FB70E98A1E31BC3801E0F8D25CB6A2C202679545AF26E3DFA6FE18/15/ja
これって、もう枯れている技術だから進歩がないと諦めてしまえば思い付きません。
一方で、常に課題を探していれば、古いものであってもいつまでも進歩しつづけるという見本ですね。
寒天は他にも医薬品業界でも、細菌の培地として重宝されており、そういった分野での出願もみられます。
3.古い出願はいつ頃?
さて、新しい方の出願を見たなら、古い出願もみたいですよね。
一応、食品分野で「海藻を原料とするゼリー剤または濃化剤」という特許分類で検索してみたところ、下記の文献がヒットしました。
なんと、1935年の出願です。
発明の名称は「大豆煮汁を使用する泡雪羹の製造方法」ということで、泡雪の製造方法です。
出願人は高崎市の「大谷金之助」という人です。
ひょっとしたら、この大谷金之助さんの子孫がまだ和菓子屋さんを経営してらっしゃるかも知れませんね。
泡雪は私も大好きです。
こちらも、URLを貼りますので興味があればご覧になってください。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S12-002361/3C909C3D56AF336FAA731B524269825152004157B2EC5A285D4B8543E882D61E/12/ja
4.常識を疑い課題を解決するとそこが強みになる
ということで、当たり前を疑い、課題を常に見つける心構えをすることで、古くからある技術についても特許は可能です。
御社でも特許のネタはあると思います。ぜひ、探してみてください。
その課題を解決できたところが御社の強みになると思いいます。
いかがでしょうか?
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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