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ちょっとした工夫が良い発明になるのです!

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「ちょっとした工夫が良い発明になるのです!」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact

1.食品用ラップフィルムの発明

 以前の「クレラップに見る逆襲劇」という記事で、クレラップが食品用ラップフィルムにおいて業界初だったのにもかかわらず、サランラップに差をつけられた。
 その差を特許とブランディングで埋めたということを書きました。
https://note.com/norio_sakaoka/n/nd3a7da5ef259
 
 今回、またラップフィルムで面白い発明を見かけたので、それについて書いていきます。

2.見かけた発明とは

 今回見かけた発明は、大手ドラッグストアのプライベートブランドで販売しているラップフィルムでした。
 箱の裏に記載されている製造会社を見ても、少なくとも私には馴染みのない初めて見る会社です。
 
 しかし、箱を開封してラップフィルムを取り出そうとしたとき、これは面白いと思う工夫がされていたのです。
 なんと、ラップフィルムの端をクルクルと丸めて棒状にしているのです。
 写真は自宅で撮影したので、見苦しいですがお許しください。 

ラップフィルムの端が棒状に丸めてある

3.特許検索の結果は?

 早速、特許検索をしてみましたが、このラップフィルムの製造会社で特許検索をしても同じものは見つかりません。
 特許分類であるFターム「3E086 AD13 ・ラップ包装、 3E086 CA01 ・食品」といったところで、約700件の特許も見てみたのですが、今回の発明と同じものは発見できませんでした。
 
 もしかしたら、出願後18月前のため公開されていないかもしれません。
 出願していないのであれば、もったいないと思われる案件です。是非、新規性喪失の例外規定を使ってでも出願されることをお勧めします。

4.実際に使ってみると

 これ、実際に使ってみるととても使い勝手が良いのです。
 シール等で固定されているわけでないので、すぐに引き出せるのです。
 皆さんも、ラップフィルムを開封して、最初にフィルムを引き出すときの煩わしさを経験したことがあると思います。
 
 時間がないときに限ってラップフィルムを使い切った。
 新しいラップフィルムを開封しても、なかなか最初の引き出しができない、フィルムを箱から取り出してフィルムの端を探す、引っ張ってみると幅方向の途中で切れて変な形で引き出してしまった、時間がせまってくる・・・
 
 そんなとき、このラップフィルムなら一瞬で引き出せます。
 フィルムの途中で切れて、中途半端な幅になることもありません。
 勿論、近年のラップフィルムは各社ともに、開封後の最初の取り出しにおける工夫がされており、昔と比べると随分と使いやすくなりました。
 でも、個人的な感想ですが、今回取り上げたラップフィルムは、これまでの中で一番の引き出しやすさでした。

5.製造上の利点も

 さらに、今回取り上げたラップフィルムでは、最初の引き出しのときによく使用されているシール等の余分な部品も不要です。
 こういった低価格商品においては、銭単位(1円の百分の一)でのコストダウンがなされていると思います。
 少しでも部品点数を減らせるのであれば、他社と比較して有利になります。
 
 もっとも、ラップフィルムの端を巻くという工程は必要ですが、それは他社のシール等の工夫においても同じであり、部品点数が少ない分有利と思われます。

6.勝手に思うこと

 今回取り上げたラップフィルムは、安かろう悪かろうでなく品質もしっかりしていました。
 しかし、プライベートブランド+製造会社が無名(少なくとも私には)ということもあり、価格もクレラップやサランラップに比べて半値くらいで売られています。
 
 よい製品なのに、もったいないな~と思ってしまいました。
 何か良い方法で高収益の商品にしていただきたいですね。
 実際、箱を見ると下の写真のように、細かな部分にも工夫がされています。 

各所にみられる工夫

 零細事務所の経営者である私ごときが言うことではないのですが、特許や商標でブランディングを図り、先ずは会社所在地といった狭い範囲での知名度を上げていくことが良いのかなと勝手に思っております。
 
 上記の「クレラップに見る逆襲劇」のようなことを見せていただけると嬉しいですね。
 
 この記事が御社の発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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