見出し画像

AI関連発明を活用しよう!~AI関連発明は中小企業でもできる~

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「AI関連発明を活用しよう!~AI関連発明は中小企業でもできる~」をお伝えします。
 この内容は2024年1月26日に、坂岡が日本弁理士会東海会 開設記念セミナーに登壇してお話しした内容をもとにしております。

日本弁理士会東海会 開設記念セミナーの会場

※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact
 

1.AI発明って難しい?

 AI関連発明と聞くと、何だか難しそうで我社には関係ないなと思われそうです。
 確かに、機械学習の方法などのAIコア技術になれば、かなりマニアックな話になります。
 そういった発明は、大手企業の研究開発部門、大学の研究室、一部の特化した中小企業などしか縁がなさそうです。
 
 しかし、AIを応用したAI関連発明はそんなに難しくもなさそうです。
 なぜなら、公知のAIを用いて特許になっている事例がいくつも見られるからです。
 今回は、皆さまの職場でもありそうな人的作業にAIを加える、又は人的作業の一部をAIに置き換えて特許になっている事例を紹介いたします。
 

2.AI関連発明の特許登録例

(1)錦鯉評価装置 特許第7008957号
 最初に錦鯉評価装置の特許事例を紹介いたします。
 
 この錦鯉評価装置の内容をかなりざっくりと申しますと、以下のようになります。
 錦鯉の体型の情報を用いた評価、
 錦鯉のの情報を用いた評価、
 錦鯉の模様の情報用いた評価、
 上記の3つうちの少なくとも2つの評価を行って評価結果を取得する。
 
 どういうことかと申しますと、先ずは錦鯉の写真を撮ります。 

特許第7008957号 図3

 次に、写真から体型の特徴量を抽出します。 

特許第7008957号 図4

 また、色の特徴量を色素の分布を取得することで抽出します。 

特許第7008957号 図5

 さらに、模様はその模様が鼻先にかかっていないか、尾の付け根にかかっていないか等によって良し悪しを評価します。
 
 そして、体型、色、模様のうち少なくとも2つの評価を行うというものです。
 これにより、具体的に何が良いから良い鯉、何が悪いから悪い鯉であるのが分かるそうです。
 
(2)食品検査システム 特許第7097642号
 この食品検査システムの内容をざっくりと申しますと、以下のようになります。

特許第7097642号 図1

 第1のカメラ21でベルトコンベア11上の食品60を撮影して、不良品を除去する。
 下流に流れてきた不良品を人70が手で除去するが、その手の動きを第2のカメラ22で撮影する。
 除去された食品が第1のカメラ21で撮影したどの食品かを突き止める。
 突き止めた食品の画像を再学習データにする。

 
 この特許の発明の趣旨はおよそ以下のとおりです。
 ①判定基準を厳しくすれば良品も不良品と判定される
 ②しかし、各々の業者の態様に合わせて高精度の学習サンプルを作成することは困難
 ③そこで、当初は明らかな不良のみ不良品と判定
 ④検出漏れを作業者が不良品とすることで、当該不良品の画像を用いて判定手段を再学習
 ⑤将来、判定精度が向上すれば機械のみで良品不良品を判定
 
 この発明だと、検査装置の導入コストを抑えられそうです。上手く考えていますね。
 
(3)セルフ給油監視システム
 発明の内容は以下のとおりです。
 前提として、セルフ給油スタンドは無人に見えて、どこかの部屋に監視員がいて危険行動がないか監視しています。
 そして、問題がない場合のみ端末装置を操作して給油ポンプを回します。 

一般的なセルフ給油スタンド

 これに対して本件発明は以下のとおりです。

機械と人の判定が異なるとそれを再学習データに利用

 セルフ給油の様子を監視装置で監視して、所定の行動(タバコ、携行缶への給油等)がないか監視する。
 監視装置の検知結果と、監視員の操作内容とが一致しない場合、判定された画像を再学習データとして記憶する。

 例えば、機械は給油者がタバコを持っていると判断してNGとします。
 しかし、監視員は給油者がキーホルダーを持っているとしてOKと判断します。
 こういったときに当該画像データを再学習データとするのです。
 
 この発明は、機械の判定結果と人の判定結果とが相違するときに、その画像データを再学習に使用するという点で、上記の食品検査システムに少し似ていますね。
 

3.これらの特許に共通すること

 上記3つの特許に共通することは、冒頭でも申し上げましたように、人的作業にAIを加える、又は人的作業の一部をAIに置き換えて特許になっていることです。
 もっとも単に加える、置換するだけでは難しいので一工夫は必要と思います。
 しかし、それで特許になっているのです。
 そして、特許になることで他社との差別化を図ることができます。

  東海会開設記念セミナーでは複数人登壇しましたが、その中で名古屋大学からみえた講師が、「AIが人の仕事を奪う」のではなく、「AIを使いこなす人が仕事を奪う」と仰っていました。
 
 皆さまの職場でもAIを活用することで、他社より一歩抜きん出ることができるかもです。
 ご検討いただければ幸いです。
 そのときは特許出願もされることをお勧めします。
 
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
※自社の技術の権利化をお考えのお問い合わせはこちらからhttp://www.sakaoka.jp/contact
 
ホームページ http://www.sakaoka.jp/
Facebook  https://www.facebook.com/profile.php?id=100065245853871
      https://www.facebook.com/sakaoka.norio
Twitter    https://twitter.com/sakaoka

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?