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今日はサブレの日 サブレに関する面白い特許

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「今日はサブレの日 サブレに関する面白い特許」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact 

1.サブレとは

 今日、3月20日はサブレの日だそうです。
 サブレと聞いて、お菓子だなとは分かるのですが、具体的にどんなお菓子なんだろうと思い、Google検索で見てみました。
 ウィキペディアによると、「サブレー(仏: sablé[1])とは、ビスケットの一種であり、サックリとした食感とバターの風味が特徴の洋菓子である。」とあります。
 
 さらに、「サブレの日」も検索してみると、BS朝日のホームページに「サブレの日はお菓子などを製造・販売している日清シスコが2011年に制定しました。」とあります。
 日清シスコさん、商売上手であるとともに業界全体の売上向上に尽力されていますね。 

日清シスコ株式会社HPより引用

 余談ですが、弊所顧客の「いきものクッキー」屋さんにも、「サブレ」という名のカメレオンが居ます。
https://www.instagram.com/cookie.kurimaro/

2.サブレに関する一般的な特許

 サブレについて簡単に説明しましたが、この記事は知的財産権で中小企業に稼いでもらうことを目的としていますので、特許について述べていきます。
 
 先に、サブレに関する一般的な特許を紹介します。
 発明の名称が「ショコラサブレ」という特許で、番号が特許第6727037号となります。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6727037/15/ja
 
 こちらの特許は、請求項1が「原材料として、30~55質量%のカカオ豆由来固形分および乳由来固形分から選ばれる1種以上の固形分、10~27質量%の油脂・・・を混合する、焼き菓子生地の製造方法。」となっており、一般的な菓子の原料を数値限定することで特許になっています。
 
 数値限定とは、例えば「Aという材料を10~20%」入れたときに特別顕著な効果を奏しますよ、だから特許になりますね、という方法です。
 この方法で特許にするには、数値のどこからどこまでが良いのかという実験が必要になってきます。
 実際に、下図のような実験を行っています。 

特許第6727037号の表2

 ちなみに、当該特許の特許権者である「日清オイリオグループ株式会社」は、サブレの日を作った「日清シスコ株式会社」とは関係ない会社のようです。

3.サブレに関する面白い特許

 前置きが長くなりましたが、本題のサブレに関する面白い特許を紹介します。
 発明の名称が「卵殻膜粉末を配合した菓子類」という特許で、番号が特許第4841569号となっております。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-4841569/15/ja
 
 こちらの特許の請求項1は、以下のとおりです。
【請求項1】
 キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を配合したことを特徴とする菓子類。

 
 これだけです。
 下位の請求項に、請求項1の菓子類がサブレである、みたいなことが書いてあります。
 
 明細書を見てみると、卵殻膜(卵の白身の外側にある薄皮)を経口摂取することで、肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などを同時に図ることができる、とあります。
 
 それよりも凄いのは、請求項1が1行であることです。
 基本的に、特許権侵害となるのは、独立項である請求項1の内容を全て実施するときです。
 構成要件のうち1つでも外せば原則として特許権侵害にはなりません。
 つまり、文言をたくさん書いた長い請求項1では侵害回避が容易になるのです。
 
 当該特許の場合、キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を配合した菓子を製造販売すると、基本的に全て特許権侵害になります。
 権利範囲が広いですね。
 
 これは、過去に「キャラメルで被覆した卵殻膜粉末」を配合した菓子がなかったから特許になったと考えます。
 
 他の例として、「小麦粉中に桜海老の粉末が小麦粉に対して3~7重量%の割合で混合」したたこ焼きも、過去に特許になっています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2700393/15/ja
 
 食品業界は、たまにこういった意外な特許が出てきますので面白いですね。
 勿論、最初に説明した日清オイリオのような、きちんと実験を積み重ねて良い品を作るという姿勢も大事です。
 
 でも、中小企業が大企業と同じことをしようとしても、資金や人材といったところで難しいことが多いと思います。
 中小企業ならではの、これまでの常識にとらわれないような特許を取得されると、それはそれで面白いですし、売上げ向上にも寄与するのではと考えます。
 
 この記事が御社の発展に寄与することを願っております。 
 坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)

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