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飲食店における「安心感」について

あらゆるサービスや事業において言えることですが、飲食店においても「安心感」は大切な要素だと思っています。居心地にもつながりますし。
今回は以下の3つのポイントで、安心感につながる要因について考えてみたいと思います。

1. 空間がつくる安心感
2. 接客がつくる安心感
3. 商品がつくる安心感

1. 空間がつくる安心感

空間はハードとソフトから構成されます。
まずハードですが、立地、外観、内装・照明、ソファや椅子・テーブルといった家具、スタッフの外見・服装など。最近だと(特にカフェでは)電源とWi-Fiが安心感につながるひとも多いかもしれません(僕もです)。

中でも「家具」は特に大切だと思っていて、ソファや椅子の座り心地、高さ、テーブルとのバランス、他のお客さまとの位置関係・配置など、空間をつくる上で重要なアイテムです。
飲食店は立ち飲み・屋台風のお店から高級レストランやラウンジ風のお店まで多種多様ですが、その飲食形態に馴染んでいる家具、落ち着ける家具、ストレスのない家具やそのレイアウトが、安心感につながると思います。

ソフトはBGMや雰囲気です。
僕はBGMにはわりと気を使っていて、時間帯や天気、その時の客層などによって変えていました。例えば晴れた昼間なら明るいPOP、雨ならしっとりめ、年配の方がいらっしゃれば70'sや80's、女性1名がいらっしゃれば女性ボーカル、といった具合です。とは言え、お店のイメージでいつも同じジャンルのBGM、というのもありだと思います。

あと雰囲気をつくる大きな要素のひとつが、従業員間のコミュニケーション。お店のスタッフがお互いに気持ちよく働いているか、険悪なムードで働いているか。経験したことがあるひとは多いのではないでしょうか。

それから、空間をつくるのはお店側だけでなく、お客さまもつくります。とてもつくります。どんなにいいお店でも、自分と温度差が大きい客層のお店だと安心できませんよね。
なので、「やんわりターゲットを絞りたい」という場合は、ディスカウントやクーポン、SP広告、グルメサイトの有料プランなどでの広い集客は行わず、主にSNS・口コミなどでの狭い集客をおすすめします。

2. 接客がつくる安心感

次に接客・コミュニケーション。接客に関してはたくさんの本が出てますし、簡単には語れませんが、僕はいくつか「軸」みたいなものがあると思っています。温度、距離、硬度、速度・リズムなどで、その加減、組み合わせが接客スタイルです。

熱さ、冷たさ、テンション、目線や言葉遣い、プライベートな情報にどこまで関わるか、会話のスピードやテンポなど、これらがお客さまにとって心地のいいものである場合(心地いいポイントはひとによるけど)、それは顧客満足度や安心感につながると思います。

factoryの場合は、お客さまには自分の部屋のように(もしくはそれ以上に)リラックスしてもらいたかったので、あまり硬い言葉は使わず、過剰接客をせず(近づき過ぎず)、適度な距離を保つように気をつけていました。

具体的に言うと、おかわりを伺ってプレッシャーをかけるようなことはしないとか、お水も頻繁に注ぎ足しに行くのではなくデキャンタを置くなど。「回転率も客単価も上がんないじゃん」と言われますが、それよりもお客さまの空間や時間、リピート率を一番大切にしていて、もしお店を気に入ってくれてまた来てくれたら、それが一番嬉しいことでした。

個人情報にも不必要にこちらからアクセスすることはしませんでした。名前も仕事も住んでるところも知らない常連さんがたくさんいましたが、それらの情報はあまり重要ではありませんでした。
初対面で、さらに今後会うかどうかわからないひとにいろいろプライベートなことを聞かれるのが苦手なひと、いますよね(僕もそうです)。

3. 商品がつくる安心感

商品の場合、中身はもちろんですが、外側(器など)や、メニュー(お客さまの想像)と、実際に提供されたものとのギャップも影響します。アンバランスな器で提供されたり、清潔でなかったり、期待を下回るものが提供されたりした場合、安心感は得られません。なのであまりメニュー上で「盛る」ことはおすすめしません。

それから「"定番メニュー"や"看板メニュー"があること」も、安心感につながると思っています。いつも通っているお店のいつもの味。学生時代によく通っていたお店に久しぶりに訪れて食べる懐かしの味。そんな安心感もありますよね。

4. おまけ:チェーン店がつくる安心感

僕はスターバックスが大好きなんですが、知らない街、特に初めて訪れる海外の都市ともなると、スタバの安心感ってすごい。いつものコーヒーでほっとすることができます。外観、内装や家具、ユニフォームなど、どこの国でも同じようなスタイルで、スタッフの感じもよく、安心できます。
スタバの理念、採用、育成が世界中に行き届いている成果だと思います。

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とは言え、プリンスが「POP LIFE」で歌っているように、人生にはスリルも必要なんですけどね
"POP LIFE" by PRINCE 

*cover photo by @kazzwatabe

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