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もはやピッチはコモディティ、、、埋もれてしまうパッションを消さないために


プレゼンではなく、ピッチ。このピッチという言葉が普通の市民権を日本で得たのはいつくらいだろうか?

そうした場所が、資金調達へのステップアップ、サービスの認知拡大という次の展開に直結するようになったのは、投資側も増えた2014年以降くらいからだろうか。

そして、今2019年、最近感じるのは、ピッチのコモディティ化だ。その手前にあるのは、スタートアップ起業のコモディティ化も実はある。若い時より尖った人材が向かった先は、投資銀行、コンサル、その後にスタートアップ、そして自らの起業。VC、CVC、さらにはビジョンファンドという巨大なものまで、年間日本で出資されるそれらの資金はざっと1500億円。かりに一人あたりコストを2000万円として、乱暴な計算だと約1万人が、このリスクワーキングスタイル(起業か、初期メンバー)に飛び込むことができる土壌ができたことになる。

1万人が飛び込んでいるとしよう。
世代は、20歳から40歳の20年間とするなら、人口は、約2000万人。つまり、0.1%、1000人に1人が、スタートアップ住人になろうという時代。
1社あたり5人としたら、2000社が量産され、全社が1回づつピッチするとしても、毎週40社がどこかで新しくピッチしている計算となる。
実際は年に2、3回は挑戦するだろうから、毎週数百のピッチが、そこかしこで、行われていることになる。

聞く側の立場に立った時はどうだろうか?
聞いてる人(もしくは投資家)からすると、ハッキリわかる。「これはすごい(とてつもなく)」か、「よくわからない」だ。
よくわからないというのは、面白いかもしれない、良いかもしれない。なかなかいける、から、箸にも棒にも当たらないレベルまで、すべてを指す。
このとてつもなく凄い、と思える、千に1つか2つしか投資対象とはならない。それ以外は次回までにより良くしてみて、という印象となっているのだと思う。となると、時間効率を考えた時、かりにQ&Aを入れて5分として、1000のピッチに対して、3つが凄い!と思えるとしても、約30時間に1社しか、当たりくじがない計算となる。

ちょうどいま行われている甲子園のように、全国地方大会から勝ち上がってきたピッチだけを観れるわけではない(ほとんどの会場で)。この時間効率が妥当なのかどうかは、個人の主観によるかもしれないが。

兎にも角にも、ピッチというものが、もはやコモディティになりつつある。
そうなると、2つあって、1つ目はその大量にある中から、どうやって這い上がっていけるかということ。一目(1分)で凄いと思えなくとも、ほとんどの聴衆や投資家がその数分では判断できなくとも、実は凄いもの(凄くなるもの)は山のようにあると思う。それが見過ごされ、世の中に出るための時間が長期化してしまうことが、実は大量にあるのではないかと思っている。それが長期化してしまうことは、マクロで考えたら、社会変革を遅めてしまうことに繋がっているかもしれない。大量の中からの見極めと、その効率性のアップがもっと必要になってくる。

2つ目は、ピッチのみに頼るような事業の立ち上げ方は、かなりしんどくなるということだ。ある種最も王道、血気盛んな若者はそこから進む。うちからほとばしるパッションを胸に、ただ走る。しかし、その時間効率はかなり悪いのではないか、ということだ。

ここで、私が考えるゴールは、1万人が飛び込んだ結果生まれている新しいスタートアップ全体での、事業最速化とその結果起こりうる、未来を変える変革の最大化だ。どうしたらそれが出来るのか? 実は1社の事業の進捗にはそれほど興味がない。この1万人のパワーの全体を、どうやったらフルパワー化、超サイヤ人化できるのだろうか、ということに関心がある。

初期の事業を見極めるのは、難しい。特にCVCなど収益性を踏まえた目で見極めようものなら、それは透明な絵を品定めするようなものだ。ピッチは、スモールビジネスの宣伝活動ではない。今世の中にはない、新しい社会変革を実現する、「まったくよくわからないもの」を見極める場なのだ。となると、見るのは何になるか。個人となる、事業ではなく。

飛び込んだ1万人。
多いといえども、社会人人口の0.1%。飛び込んだ時点で、動く人ということはフィルタリングされている。そうなると、その個人が、そのピッチ当日の日まで、どんな風に生きてきたのかが知りたくなる。どれだけ人に影響を与えてきたか。受けてきたか。そして、そこから踏まえてこれからの人生をどういう風に歩んでいくか。

そんなものが可視化されてきたら、世の中はもっと加速していく。bajjiのサービス設計は、そんなことを夢想しながら練り上げていたりする。

「あなたのイノベーションを加速させたい」
それが今の私の心の根底に流れている。

近く、bajji incubation hubなるものを創ろうと思っている。「1万人が飛び込んだ結果生まれている新しいスタートアップ全体での、事業最速化とその結果起こりうる、未来を変える変革の最大化」のために。

こんなことを言いながら、今週も来週もピッチに向かうのであった(笑)

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