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最好映画。 197 「フランシス・ハ」 2012年。

台詞の中では一回も語られませんけど、ノア・バームバック監督のフランス映画愛爆裂。アラサー女子の拗らせっぷりをグレタ・ガーウィクがお茶目に演じてます。脚本もノア・バームバック+グレタ・ガーウィクのコンビ。同じ組み合わせで作った「ミストレス・アメリカ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」にテイストが似ていて、ともかく現状に満足していない人たちの会話と、斜めから見た視点がとても楽しい映画です。あるあるな連続という感じでしょうか。現代のNYでダンサーを目指して頑張るフランシスと、大学時代からの親友ソフィーとのシェア生活が壊れるところからお話はスタートします。部屋を出てしまったフランシスは友人の家に転がり込んだり、たまたま知り合った人のパリの家に2泊だけしてみたり、日本の同じ世代が見たら自由で気ままな暮らしなんですけど、本人たちは全然満足してない。喧嘩別れしたソフィーが一緒に行った彼氏の東京暮らしに不平不満だし、フランシスはダンスカンパニーのディレクターに才能がないことを指摘されて事務職に誘われていじけたり、まあまあ貴族の悲しみを平民が見るみたいな構造。アメリカ全部がこんなわけもないし、切り離してアラサーのこじらせ女子の話と見れば、本人たちは必死なので、案外見やすいです。ノア・バームバック監督は、自身の周辺で描くのが本当にうまくて、「マリッジ・ストーリー」「イカとクジラ」は必見です。ただ、正直ネタが一緒(NYで演劇か映画に関わっている離婚しそうな夫婦と、子どもたちはどう見てるか、というストーリー)なんですよね笑 パートナーのグレタ・ガーウィクが混ざるとこじらせ女子の話になるし、なんか不思議な監督です。フランス映画愛っていうのは、音楽が全部トリュフォーものだから笑 フランス大好き!なんて説明全くないので、ウッディ・アレンの「マンハッタン」の女子版かと思ったら全然違ってました。フランシスが嬉しくて走りまくるシーンに流れるのはデヴィッド・ボウイの「モダンラブ」。レオス・カラックスの「汚れた血」のオマージュにしか見えません。ご丁寧に走り方向が全く逆なあたり、リスペクト!なんだろうなと思います。曲が寸断されるところもほぼ同じです。フランス映画のエッセンスはおしゃれ程度にしか見えませんので、元ネタを知る必要はありません。モノクロなおしゃれ映画というよりは、アラサーの悩みって洋の東西を問わず一緒よね、という映画です。IMDbの情報が正しければ、CANON EOS 5D MK2で撮影されてます。まだ夜弱かったから、モノクロなんだろうな〜とか勝手な想像はしてますが、撮影のショーン・レビィはグレタ・ガーウィクの監督デビュー作「レディ・バード」や「ヤング・アダルト・ニューヨーク」はARRI ALEXAなので、単に予算の問題だったのかもしれませんw でも仕上がりは非常に端正なモノクロでした。86分しかありませんし、NetflixでもAmazonプライムでも見れますので、お時間ある時にどうぞ。




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