意思決定こそが仕事の成否を分ける

長くキャリアを積むと分かるのは、仕事の成果を分けるのは「意思決定」だということ。結果がどうなるか見えない局面で複数の選択肢から一つ選ぶ。これってすごく地味だから、メディアではあまり取り上げられないけれど、この決めるプロセスが仕事の成否を分けることは多い。だからこそ、意思決定を左右する「自分の心」をうまくマネジメントできるかも鍵になる。

心の中で何に逡巡して、何をきっかけや理由として最終的に決めたのか。それは意思決定者の心の中で起きているので、他者が窺い知ることは難しい。なので、経営の文脈でも戦略やファイナンスと言った目に見える部分の方が語られることが多い。

仮にメディアに出てくる成功例で意思決定が語られたとしても、多くはその成功に向けて論理的に綺麗に意思決定がなされたかのようにストーリーが作られがち。でもそれって後付けに過ぎない場合が多い。実際の意思決定はもっと凸凹している。未来が不確定な状況で、自分の感情の動きにも左右されながら、最終的になにをどうやって決めたのか。ここにはビジネスの本質的な部分が表れていると思う。

例えば、私のツイッターでもよく紹介している、オンデーズの経営を描いた「破天荒フェニックス」はこの「意思決定こそ重要」という観点から見て学びが多い。というのも、この本には、経営的に追い込まれた状況下で、何に悩み逡巡しながら最終的に何をどうやって意思決定したのか、という点についてのリアルな事例がたくさん描かれているから。揺れ動く感情も含めて、窮地でどう決断するか。この点についての理解を深めることは非常に重要になる。

ビジネスで評論家的なポジションの人の話が、筋は通っているけれどどこかリアリティがないのは、この意思決定の困難の部分がきちんと勘定に入ってないからだと思う。そういう人は「あとはやるだけですよ」みたいなことをよく言うけれど、その意思決定の過程にこそ難しさや本質が潜んでいる。

なので、日々の仕事を通じて私がいつも考えているのは「なぜ決められないのか?」の部分。自分も他人も「そこでこう決めて動けばいいのに」というところで動けない。人からは見えないけど、心の中では色んな感情がうごめいていて、それが決定を押し留めている。その感情を想像して、そのメカニズムに対して考えてみるとたくさん学べることがあると思う。

★ボーナストラック★
最近私が関わったタフな意思決定の場面で自分がどういうことを心がけたのかを書いてみました

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