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SUITSのドナみたいな人が組織に必要な理由

SUITSのドナ(ハーヴィーの秘書)の存在ってすごく面白くて、経営を考える上でも示唆があります。

ドナのところには、ハーヴィーに限らず事務所のみんなが、雑談しに来たり相談を持ちかけに来ます。で、ドナは軽妙な冗談を飛ばしながら、みんなの話を聞いてあげるし、お悩みごとも前向きに受け止めてくれます。「それならためらってないでルイスに頼めばいいじゃないの」みたいに、問題解決の後押しまでしてくれたりする。

こういうドナみたいな存在って組織においてすごく重要なんですよね。組織の人たちをつなぎ、ポジティブな雰囲気を作っていく「ハブ」になる人の存在は、組織を円滑に運営していく上で欠かせない。

というのも、みんなが思っている以上に組織というのは「サイロ化」しています。ちょっと横の人や部門に相談すれば解決することも、誰に聞いたらいいかを知らなかったり、お互いよく思っていなかったりで、結果的に仕事が停滞してることはよくあります。だからドナのように、情報のハブになっているとともに、人や部門間の「潤滑油」となってくれる人は貴重な存在なんですよね。

また、事業にとって組織のムードというのもとても大切です。いつも明るく前向きで、冗談飛ばしながらみんなを盛り上げてくれるドナみたいな存在がいるだけで、組織にはポジティブな空気が流れてきます。SUITSでも、みんなが嬉しそうにドナの席に近づいてきて話しかける姿は印象的です。

こうした点を踏まえてSUITSが優れているのは、ハーヴィーのすごさを「ドナの重要性を誰よりも理解している人」という視点からも描き出しているところです。ハーヴィーは必ずしもマネジメントが得意ではないんですが、ドナが自分と組織にとっていかに重要な存在かはよく理解していて、彼女に高い報酬を与え、問題に直面したときにも彼女を全力で守ろうとします。

実際に組織を運営して苦労した経験を持っている人なら、ドナみたいな存在が組織にとっていかに重要かを知っています。自信家で強引、独善的な行動をすることも多いハーヴィーが、ドナのような存在にこそ価値を見出している、というコントラストがSUITSの魅力を増していますし、経営についても示唆を与えてくれます。

ただ、難しいのは、こうしたドナが担っているような役割って分かりやすい「スキル」として定義できないし、なかなか可視化されないという点です。もっと言うと、スキルを持っている本人自身がその本質的な価値に気づいていなかったりすることも多いです。

加えて、頭でっかちで実際の経営の経験が浅いリーダーは、ドナみたいな存在の価値を理解できないという問題もあります。秘書さんやオペレーションの担当者に対して横柄な態度を取る現場のリーダーっているんですよね。もっと組織のダイナミクスに目を凝らして理解できないと経営できないよと思うんですが、こういう人の存在が「ドナ的な人」の価値を組織が正しく評価できない原因になったりします。

ということで、ハーヴィーがドナを高く評価し続けているように、組織のトップや実力者が「ドナ的な人」の価値を正しく理解して、きちんと評価することは経営にとっても重要なポイントだなと思っています。

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