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15年間「不安」に苦しんだ私がいま本気で作りたいものとは何か?

【追記】
2021年9月に認知行動療法に基づくオンラインカウンセリングサービスを一般公開しています!まずは「無料相談会」でお悩みをお聞かせ下さい。
https://www.mycoping.com/

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いま個人プロジェクトとして、「こころ」の領域で新しいサービスを考えています。そのために「なぜやるのか?」をきちんと文章にしておこうと思いました。自分自身が苦しんできたこと、そしてそれを乗り越えてきた経験をもとに、同じような「壁」にぶつかっている人を支え、助けるなにかを生み出していきたいと思っています。

(注:認知行動療法は心理学を学び、カウンセリングの訓練を受けた専門家が行うものです。本記事での認知行動療法についての私の記述は、あくまで「被治療者」としての体験をもとにしており、不正確な点、適切な描写でない点がある可能性があります。その点をあらかじめご了承下さいませ。)

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日本でも新しい働き方、生き方の模索が盛んになってきています。「多動力」「ブランド人になれ」「転職の思考法」。どのベストセラーも終身雇用と年功序列といったモデルの硬直化が日本の停滞の原因となっていることを鋭くえぐり出し、そこから脱するための考え方や具体的な処方箋を提示していて説得力があります。

でも、と私は思います。そこにはなにかが欠けているんだよなと。

頭では理解できることでも、それを実践するうえではいつも「壁」がある。その壁の存在に私自身が20-30代を通して苦しんできました。そして、難しいのはその壁は「こころの中にある」ということです。

自分を苦しめてきたもの

私が20代のころ、梅田望夫氏がWeb 2.0の思想を分かりやすくひもとき、グリーやはてなといったベンチャーで、同世代の「76世代」の起業家たちがその思想を実践し、表舞台で華々しい活躍をしていました。

でも、その頃の私はもがいてました。活躍する同世代に嫉妬しながら、仕事でも目立った成果が出せず焦っていた。そしてなにより「抑うつや不安」に苦しんでいました。

それは浪人時代から続いていました。夏にハードに勉強した疲れを感じていた10月のある日、突然頭の中で「ぼんっ」となにかが弾けてからずっと、不安は自分の人生を支配しつづけていました。

大学受験は希望校全てに落ちました。かろうじてひとつだけ合格しましたが、大学生活は読書に逃げ込み友人も少なく孤独。せっかくのアメリカへの交換留学でも、英語力の無さに苦しみ、タフな勉強に疲れ授業に行けなくなりました。帰国後無気力になり、就活前は引きこもりました。

なんとか見つけた就職先で頑張りましたが、海外出張の前は不安に押しつぶされそうでいつも一人でうめいていました。そして、結婚時にもゴタゴタがあり、疲れ果てて仕事も休職しました。

私をいつも苦しめていたのは「不安」です。 

きっかけはさまざまです。久しぶりに会った旧友がめざましい活躍をしているのを聞いた時。ちょっと難しそうな仕事を振られた時。上司に頼みにくいことを相談しなくてはいけない時。海外出張で大きな責任を負った時。

とにかくちょっとしたきっかけで不安が渦のように押し寄せて、なにもできなくなる。一回不安になると、文字通り24時間そこから抜け出せない。その影響は身体にもおよんで、常に疲労感がつきまとい週末はただ寝るだけしかできないことも多かったです。

処方された薬は対症療法に過ぎず、薬を飲んでいると一時的に気分は良くなるけれど、なにかストレスを感じることがあると、すぐに不安がやってきてガタガタになりました。

はじめての転職でコンサルに挑戦したけれどうまくいかず、リストラ寸前に追いこまれました。そして、なんとか間接部門に仕事を見つけて異動したときに思いました。もうこのままではダメだ。なんとかこの問題を「解決」したいと。

認知行動療法との出会い

そこで、通院していた精神科医が薦めていた「認知行動療法」のことを思い出します。「薬だけでなく、ほんとはこういうカウンセリングが必要なんだけどね」。医師の言葉がずっと印象に残っていました。

そこで「認知行動療法」をググって、いちばん説明が詳しく良さそうと感じたクリニックで予約を取りました。

結果的に、このときの選択が私の人生を救ってくれました。

初回に行われたクリニックの所長の説明は明確で、認知行動療法の何が優れているのか、それを使ってどうカウンセリングを進めるか、といった点について分かりやすく話してくれました。その説明は論理的でよく腹落ちできたし、担当についてくれたカウンセラーも好感の持てる方でした。

これだ、と思った私は、2週間に1回欠かさず通い、そこで課される宿題も地道にこなしました。担当カウンセラーの方は粘り強く私が抱えていた問題点にフォーカスし、認知行動療法の方法論を「私自身が身につける」ことを丁寧にサポートしてくれました。

認知行動療法のなにが優れているのか

認知行動療法が優れているのは、まとめると以下の3つだと思います。

・モデルがシンプルで分かりやすいこと
・実践的であること
・主体性がもっとも重要なこと

うつ病をはじめとしたメンタルヘルスの怖いところは、なかなか完治しないところにあります。薬は対症療法の側面が強くて、いったんそれで症状が改善したとしても、仕事や私生活でストレスを避けることは不可能です。私も、日々の生活で受けるストレスを乗り越えられずに、メンタルの不調に落ち込んでいくパターンにはまりこんでいました。

つまり、必要なのは自分自身でストレスに対応する力です。そこでは「ストレスマネジメント」の能力を身につけることが決定的に重要になってきます。

そして、そこが認知行動療法の優れたところです。まず、依拠しているモデルがシンプルで分かりやすいです。そのおかげで、自分のこころの動きをそのモデルにあてはめて、客観的に理解することができます。

さらに、認知行動療法では、カウンセラーは依存する対象ではなく、あくまでクライアントの並走者でありサポーターと位置づけられています。

クライアント自身が、自分でそのメソッドを学び、日々実践していくことで、解決方法を自分で身につけていけるよう設計されているわけです。その主体性がポイントで、いま振り返ると、そういう「RIZAP」的な要素があったから自分も続けられたのだなと思います。

約1年半ほど定期的に通いその方法論を身につけることができて、そこからキャリアも一気に好転しました。

間接部門で地道に業務をこなしていると、事業計画立案のプロジェクトに関わるチャンスが訪れ、外国人COOとのタフな仕事を通じて大きな成果を出すことができました。その成果のおかげで思いがけず上海駐在の機会を与えられ、帰国後は私が「師匠」と仰いでいるオーストラリア人のCOOとの仕事で、グローバル企業の経営のイロハを深く学ぶことができました。

これらの仕事は仕事量もプレッシャーもきわめて大きく、常に高いストレスにさらされていましたが、認知行動療法で身につけた方法論を毎日の生活で実践することで、なんとか乗り切ることができました。

そして、仕事の実績や昇進よりなによりも、人生ではじめてといっていいくらい「最後まで頑張ることができた」ことが、本当に嬉しかったのです。

浪人時代の「あの日」から15年ちかくずっと「なぜ自分は最後まで頑張れないんだろう」といつも歯ぎしりし、うまくいかなかった過去を後悔とともに何度も思い出し、でもどうにもならない現実にひとり悔し涙を流しながら耐えていた人生を、自分の力でついに変えることができたからです。

だれもが持っている力を発揮できるようにしたい

こうして自分の過去を振り返ってみて思うのは、努力を続けること、そして自分の力を発揮することの難しさです。

仕事においては「正しい方向に向かって、地道に努力を続けること」が何より重要です。というのも努力を続けることがスキル習得はもちろん、人脈や信頼を広げていくことにも繋がり、それらの結果として成果を出せる確率が上がっていくからです。

そして、一度成果を出すことができると「自分はできるんだ」という自信が生まれ、それは次の努力への動機づけとなってくれます。こうした「好循環サイクル」が仕事では非常に重要になってきます。

けれど、その「努力を続ける」ということがとても難しい。

というのも、仕事にはさまざまタイプのストレスがつきもので、そのせいで途中で精神的に折れてしまうケースがとても多いからです。まさに過去の私がそうであったように、ちょっとした失敗や挫折、人間関係などがきっかけでその続けることのサイクルが切れてしまう。

その結果として努力を続けることで得られるスキルや人脈、信頼を積み上げていくことができずに、せっかく持っている自分の潜在的な能力を発揮する機会がないままになってしまう。

だから、私にとっての認知行動療法がそうであったように、毎日の仕事や暮らしで簡単に実践できる方法論を身につけることがなにより大切になってきます。

そして、それこそがまさに「私のやりたいこと」になります。頑張りたくても頑張れない、と苦しんでいた過去の自分のような人が、それを身につけることで毎日少しずつでも「頑張ること」を可能にするもの。

それはまだ私の中にあるイメージに過ぎないのですが、少しずつ形にしていくことで、もっと多くの人が自分で問題解決できるようになるためのサービスを作っていきたいと思っています。

この目標には決してひとりでは到達できません。同じ思いを持って「こころ」という大きな課題の解決に向かって、一緒に前に進んでいける仲間を探しています。

私が長く暗闇の中でもがいていたとき「いつか自分の人生に光は差し込むのだろうか」といつも心の中で思っていました。いまこの瞬間に同じような思いを抱えて苦しんでいる人を助けるもの、そしてなにより、みずから立ち上がる力を与えてくれるものを作っていければと強く思っています。皆さんの力をぜひ貸してください。


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