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〜あれから一年〜

ブラジルのヘビーメタルの至宝 ANGRAの創始者であり元ボーカリストのANDRE MATOS(アンドレ マトス)が天に召された。

1993年に書き上げた私の処女作「Calling....」を執筆している間中、当時の彼らのデビュー作『ANGELS CRY』をCDウォークマンで聴いていたものだ。
どれほど疲れようとも、彼らの曲を聴けばまた心の底から力が湧いてきて執筆を続けることができた。
当時もかなりのCDをストックしてはいたが、彼らのデビュー作を聴いてからはしばらくの間ANGRAしか聴かなかったほど気に入っていた。
ドイツのHELLOWEENがその音楽の源流にはあるが、音楽大学でクラシックを専攻したANDREがそのメロディック・スピード・メタルとクラシックを独自にブレンドし出来上がったのが『ANGELS CRY』だった。
序曲「UNFINISHED ALLEGRO」〜スピード・メタルの超名曲「CARRY ON」への流れは未だに鳥肌が立つほどのカッコ良さを感じる。
信じられない もうあれから26年も経っているのか。

その天才ANDREだが神経質で完璧主義者だったため他のメンバーに煙たがられたか自分で作ったバンドを追い出されるというSTEVE JOBS的な目に遭っている。
しかし彼は二度とANGRAに戻ることはなかった。
当時私は「彼がいないANGRAはANGRAではない、このバンドはもう終わりだ、、、、」とガッカリしたものだ。

しかしANDREを欠いたANGRAだが2001年にアルバム「REBIRTH」で復活を果たす。
デビュー作を思わせる序曲「IN EXCELSIS」〜「NOVA ERA」への流れは多くの不安を抱えていたANGRAファンにガッツポーズを出させたと言われたものだが、私は何かが決定的に違うと感じていた。
この曲はやはり流れからして『ANGELS CRY』がなければ生まれ得なかったと思っている。
確かに即効性はある、だが長い時間を経ると、これらは凡百の“超カッコイイ名曲”でしかないことに気付かされる。
それだってかなりすごいコトだとは思うが、やはり衝撃の度合いが全く違う。
天才が独自に生み出した楽曲と既存のファンを失わないようにと焼き直しした楽曲では似ていても全く違うものだ。

ブラジルで、ドイツのヘビーメタルとクラシック音楽とブラジルの民族音楽を同時に熟成させた奇跡の音を生み出した大天才ANDRE MATOS。
彼の作った楽曲を私はこれから先も愛聴し続けるだろう。

1stアルバムのジャケットが少し稚拙な絵ながらも、今は心にグッとくる。

ANDRE MATOS(1971ー2019) R.I.P

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