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星景写真のお話#1|「星の色を出す」

私はNORI星景写真講座という講座をやっていますが、この講座は入門編、初級編、中級編などとレベルだけで分かれており、それぞれのレベルに合わせて全体的なお話をしています。そうすると受講される方の知識も様々なので
「その話は知ってる」、「その話は難しくてわからない」というような事が起こってしまうと思います。

今回はnoteを使って、ある特定のお話をある程度詳しく説明する記事
新しく書いてみる事にしました。今回は最初の話で無料ですが、以降は有料にさせていただくかも知れません。内容はそれなりに濃いものにする予定です。

○星の色を知ろう

星景写真をやる方はだいたい2種類に分かれているようで、天体写真、星野写真から入った方と風景やポートレートなど、一般的な写真から入った方がいるようです。あくまでだいたいのパターンですが、天体から入った人は風景を軽視します。大切なのは星空であって、風景は雰囲気を出すための添え物だからです。風景など一般の写真から入った人は、星のことが全くわかっていませんからたいてい、撮るのはワンパターンの天の川です。さそり座が切れてても平気です。わからないから。あ、別にいいんですよ。切れてても。星景写真は星座写真ではないので、私は星座が切れてても良いと思っています。でも天体写真、星野写真(星座写真)から入った方はあまりそれを許せないし、星座も知らないんだなあ、と思われる事でしょう。

さらに、風景など一般写真から入った人の特徴としては、今回の話である星の色が全く出ていない写真が多いですね。最近は(天の川に関しては)そうでもない人もいますが、相変わらずただの白い点であって(もっとひどい時は妙に青くしてたりして)ゴミにしか見えない写真が多いです。良く言われる話ですが、オリオン座のベテルギウスまで白かったり青かったりすると天文屋さんからバカにされますよ(^^;表現としてあえてそうしてるという方もいるでしょう。まあそう言い張るのも結構ですけど、例えていえば真っ青な顔に撮られた女性ポートレートと同じですよね。撮られた女性はあまり喜ばないでしょうねえ。。今回はそんな大量のゴミ写真を撮ってる方向けのお話です(^^;

○まずは赤っぽい星3つくらいは覚えましょう

さそり座の1等星アンタレスは赤っぽく、おおいぬ座の1等星シリウスは青白っぽく見えます。白っぽい色の星が多いので、特にデジタルの星景写真ではなかなか色が綺麗に出ません。赤っぽい星の代表は、アンタレス、べテルギウス、アルデバランあたりですが赤くは写らずオレンジっぽい色になります。星の色に関しては下に示したHR図というものが参考になりますが、図の解説はしません。主な1等星を書いていますが、色はこんな感じなんだと見て頂ければ良いでしょう。

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星の色を出すにはあまり多くない赤っぽい星の色をちゃんと出す事を心がけましょう。とにかくまずは赤っぽい3つの星だけは覚えてください。夏の星座ならさそり座のアンタレス

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冬の星座ならオリオン座のベテルギウスとおうし座のアルデバラン

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○色を出すには

肝心の色を出す方法ですが、一般的にセンサーサイズの小さなカメラだと色が出にくいです。つまり、可能ならフルサイズ、あるいはそれ以上が欲しいのです。最近のAPS-Cなどは優秀なのである程度色は出てくれます。でも1inch以下だと色は苦しいでしょうねえ。。iPhoneでも星は撮る事が出来ますが、さすがに色は出てきませんね。

もう一つの問題としては、星がほぼ完全な点光源であり、最近の優秀なレンズではこれをまさに点として表現出来てしまうため、色は出にくくなってしまっています。完全に白く飛んでしまっています。これに対する対策としては、露出を控えるのが第一なのですが、そうすると暗い星は写らなくなって、寂しい星空になってしまいます。

なので、一般的にはソフトフィルターを使って滲ませて色を出すのが普通です。色が出るだけでなく、明るい星が大きくなって星座が分かりやすいというメリットもあります。ソフトフィルターについては星景写真にとって重要な話となるので次回のテーマとして詳細に書こうと思います。

もうひとつ色を出す方法としては、わずかにボカシてやる事です。わざとピントを少し外して星をボカシてやります。

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風景として近景を使っている場合にはそちらにピントを合わせてあげれば良いでしょう。星景写真の場合は明るいレンズで開放で使う事が多いので、近景にピントが合って星が少しボケているのは、写真としては全く自然です。

さらに、星の色が出やすいカメラ、レンズを使う事もある程度有用です。昔からキヤノンはその点が評価されていましたが、単に色を出すという意味では、例えばFUJIの方が派手でいいかも知れません。

○天体改造というものもありますが。。。

星空の写真では、星の色が良く写ってるとカラフルで美しいです。天体改造(IR改造)で赤い星雲なども出している写真もありますが、肉眼でそう見えるわけでもないので、星景写真としては評価はわかれることでしょう。天体改造(IR改造)だとこんな感じです。

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注)天体用カメラとしてNikon D810Aなどもありますので
それが必要であり、購入可能であれば、改造よりもそちらを購入される事をお勧めします。

これは単純な1枚撮りですが、天体写真では何枚も加算平均合成をするのが普通です。そうするとさらにコントラスト良く、ノイズも減って赤い星雲などがくっきりしてきます。私は星景写真ではそこまで必要ないと思っていますし、肉眼で見えない世界なので、不自然でもありますよね。まあ、カラフルで綺麗ですけどね。

○まとめ?

最後にもう一度言いますが、星は単なる白い点ではないんです。単なる白い点はゴミと同じです。ぜひ星の色を美しく表現するようにしてくださいね(^ ^)





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