現場からみたイマ

お疲れ様です

今回は一般的な新築木造の家大工という立場から見た景気について書いてみたいと思います。現場の生の声を聞いてもらいたいので、一般の方も業界の方も広く見て頂きたいです

現状は?

家をつくる大工という職業は、社員の大工さんもいますが、フリーランスの大工さんが多く存在します
それを業界では「一人親方」と呼ぶ方が多いです
利益優先か、福利厚生を提供できず抱えきれなくなった会社が、大工さんたちを外注として扱うために野に放ったのです

時代遅れの工務店の社長さんなんかは見栄っ張りなので、自社の仕事を継続して請け負う外注の大工さんを「社員」とか「ウチの大工」なんて呼びます
ちゃんと社会保障やってから社員だなんだ言えやハゲ!なんて思う人もいるとかいないとか(ただの悪口)

今の流れとしては、「一人親方を量産してたくさん家を建てて売る」という流れも高齢化で頭打ちになり、落ち着きつつあります。なので、
「若いのいないし一人親方量産できないからジジイ2人組でニコイチさせよう!育成は二の次!」という流れでしょうか…
どちらにせよ「建てろ!売れ!後は知らん!」の大きな流れの中ですね


お金の話し

一戸建てを建てる大工さんは、主に「坪単価」という請け負い契約で仕事をする事が多いです
例えばですが、
50坪の家を坪3万円で請けたら150万円が大工工事の金額になります。この50坪の家を2カ月で終わらせたら単純計算で月の売り上げが75万ですね

家はそれぞれ違うので、どこの会社の仕事をやるかで単価はバラバラ、仕事内容や効率化をどれくらい推進しているかもバラバラなので、1つの家を建てるのに大工工事がどれくらいの期間かかるかも当然バラバラです

ですがこの坪単価は、僕が見習いのころから比べると
1万5千円〜3万円は確実に減っています

先ほど50坪3万円の例を出しましたが、坪単価が2万円になってしまえば100万円の現場です。75万円の売り上げは50万円になってしまい、25万円も稼ぎが減ります。見習い1人雇える分がなくなりました
実際にはもっと減っています(絶望)


それらを受けて感じた「景気」

こんな風に単価がエゲツない下降線をたどり家の価格を無理やり下げたこと、昔より住宅ローンが組めるようになったこと、核家族化が進んだこともあり、若い人もどんどん家を買うようになりました。さらにその若い人たちの収入で買えるようにするために、間取りや部屋数は似たようなものでも、昔よりも5〜7坪くらい小さな家が増えました。3階建ても増えました。3階建てって大概が割りに合わないんですよ笑

そして面白いことに、僕らは同じ間取りであれば25坪も30坪もあまり変わらない作業スピードなのです。狭くなった分、効率が悪くなるんですね。そうして先ほどの例と重ねたら、工期は変わらないのに5坪減ったら15万の減収になりますね。その上昔より単価も下がって更に減収しています。嫁さんもカンカンですよ…

・建物の坪単価は1.5万〜3万円下がった
・昔より5〜7坪小さな建物が増えた
・小さい建物は作業効率が悪いので利益率が減る
・見習いを雇えなくなった

こんな時代になりました…

上の世代から羽振りのいい自慢話だけを聞かされ、バブルも知らず、買い叩かれた時代で大工になった僕から見てこんな景気です。
上の世代からしたらいったいいくら減ったのでしょうか(白目)

建築、建設の仕事は一般の皆さんとも繋がっているんです。皆さんが仕事で稼ぎ、物件を借りたり買う事で僕らの仕事がある。僕らの稼ぎをまた皆さんの社会に落とす。そうして繋がっています
皆さんが必要以上に安く買うことは、自分にもまた跳ね返ってきます。それは僕らにも言えますが。

SNSが普及し、いろいろな人が発信できる今、建築、建設の皆さんは少しずつですが声をあげています。こんな現場を、こんな現状をどうにかしたい。末端から見た景色ですが、少しでも変化が起きて欲しいと願います

またこの「現場から見たイマ」をシリーズ化できたらいいななんて思います。次は誰の話しをしよっかなぁとニヤニヤしながら考えておきますね


以上、今日もご安全に!

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