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米一流紙が東京オリンピックに警告。「感染拡大は避けられない」。

東京五輪の構造的なコロナ不備

The Wall Street Journal2021年l7月14日は、Tokyo Olympics contact tracing risks sidelining teams (東京オリンピックの濃厚接触追跡でチームがまるごと失格のリスク)と題して、東京五輪でアスリートの感染が相次ぎ、それにともない出場停止に追い込まれるチームが続出する、と警告を鳴らしています。

さて、すでに各国関係者が来日していますが、滞在ルールを守らない関係者がコンビニに酒を買いに出たり、外出してハメを外しているという報道がありました。また中国選手団が一般客と同じホテルに宿泊させられているとクレームがありました。

日本のリスク管理のお粗末さがすでに明らかになっています。記事は、日本のこうした不備には触れず、東京五輪の構造的なコロナ感染リスクに警鐘を鳴らしています。

この記事のポイントは3つです。

東京五輪3つの問題点


・感染防止は、選手の動線(人が動く際の経路)的に無理。チームメートと連れ立って同じ交通機関で移動し、生活し、食事をし、トレーニングするわけで、常に他者と近接を余儀なくされるから。

・東京五輪主催者側にとって最も厄介なことは、ワクチンを打っても、感染や陽性反応という検査結果から免れる絶対の保障はないことがわかったこと。

・五輪村の感染が、築地周辺のローカル・コミニュティにこぼれ落ちる可能性がある。

以下、記事のまとめです。

東京五輪最大のリスクとは

東京オリンピックの最大のリスクは、チームにひとり陽性が出れば、チーム全員が濃厚接触者とみなされ、競技から追放されることだ。しかし、どの国もそれを防ぐ手だてがほとんどないことが由々しき問題なのだ。

すでにこのことは、各国チームが日本に向かう前に現実のものになっている。オランダ体操チームは、全員ワクチン接種は終わっていた。にもかかわらず、先週末日本に向かう直前、メンバーの一人に陽性反応が出て、濃厚接触を疑われた残りのメンバー全員は全員日本行きをキャンセル。オランダに残るはめになり、女子チームもとばっちりでそのまま残り、随時検査を受けながら自主トレの日々を余儀なくされた。

全員陰性の結果を待ってオランダチームは日本に向けて出発の予定だ。しかし、339の競技が19日間びっしりひしめいている日程に、延期の余地はない。

リスク管理の抜けが多すぎ

東京の組織委員会の作ったルールブックに従うことは合理的だ。唾液テスト、感染の兆候がないかのモニタリング、マスク着用、手洗い励行、ソーシャル・ディスタンス確保。しかし、それを守っていても、落とし穴がありとあらゆるところにある。

例えば、アメリカ陸上1500 M選手団のメンバーのほとんどはチャーター機でなくて、商用飛行機で来日している。練習環境も、例えばアメリカの水泳チームがハワイ合宿を張った際は、男子25名、女子26名が練習で近接しないようにプールを複数借りたり、スペースをとった。東京でそんな事ができるのだろうか。

クライシス・マネジメント不在の日本


経営学ではクライシス・マネジメントという概念があります。クライシスとは予期せぬ不都合な出来事を意味し、これを未然予防することが最も上策とされます。

それにはまず、どんな予期せぬ問題が起こるかをリストアップすることですが、できてません。

このぶんだと主催者が十分なコロナ感染対策をとらず、競技まるごとひとつコロナ失格が続出することが考えられます。その時の訴訟リスク、これが一番恐れなくてはならないことですが、なにせ政府はオリンピックありき、だけしか考えておらず、危機管理能力はゼロと言わざるを得ません。

オランダ体操チームからも、各国が不公平なコロナ環境でフェアじゃない。オランダは不利をこうむったなどと、クレームが来ることだって考えられます。インドチームはインド株への偏見で事前練習機会を奪われたと、すでに組織委に正式に抗議しています。

スポーツはフェアネス、公平性が前提なのに、それを確保できないで「オリンピックやりゃいい」、という政府の態度には、スポーツの精神もかけらもなく、そもそもこの東京五輪はやるべきではないのです。

今日も東京の感染者は1410人。国民の命をないがしろにして五輪をやろうとする政府。いかに五輪がカネだとは言っても・・・

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

また明日お目にかかりましょう。

                             野呂 一郎

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