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コロナでわかった「神の見えざる手」の真意。

この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:神の見えざる手こそ経済学、しかしそれには前提があるという事実。コロナ不正受給、アマゾン提訴から考える人間の、経済の本質。S理論とは?トップ画はhttps://qr1.jp/s6surz

友人からの指摘

きのう、「神の見えざる手なんて、今の時代ないよ」と言ったんだけれど、

友人S氏からこのような指摘を受けた。

アダムスミスは、神の見えざる手が個人が私的な利益を目指していくと、神の手が働いて社会全体で適切な資源配分がなされる。

でも今の人たちは、私的な利益を目指しているけれど、どこか利己的になって、公的資本を頼り、努力をしていないんじゃないか?

だとすれば、神の見えざる手が、逆方向に働いて、淘汰し始めているのではないか?という風に思ってました。

友人S氏

これは、経済学の根幹に関する鋭い指摘だと思い、S氏に許可も得ず、引用しちゃっているんだけれど、これはまさにコロナ禍での不正受給のことをさしているよね。

https://qr1.jp/arhj0w

アダム・スミスが、そしてS氏が言っていることは、ある種私利私欲こそが、経済の源泉であり、それはいいことか悪いこととか言うんじゃなくて、人間の本能であり、自然なことだ、ということだ(断定(笑)。

つまり欲望こそが神の手であり、それにまかせておけば需要が生まれ、供給が発生する。あとは勝手に競争原理が働き、弱者は滅び、強者が生き残る、ということだ。

しかし、そこに「ラクして儲けたい、不正してでもカネがほしい、公的資本をズルしてでもゲットしてやろう」というよこしまな欲望が入ってくると、神の手は発動しなくなる

むしろ、そこには悪の市場、闇の市場、まさにブラックマーケットという、アダム・スミスの意図しなかった市場ができてしまう、ということだ。

アマゾンも神の手を汚しているのか

それと同じ理屈で、アマゾンも神の手を動かなくしているのかも、だ。

先日、アメリカ連邦取引委員会(FTC。Fair Trade Commission)は、アマゾンが消費者を「騙し」、Amazonプライム会員に登録させたとして、新たな訴訟を起こした、というニュースが流れたよね。

https://qr1.jp/kz7mlk

アマゾンはわざと解約しにくくしている、というのだ。

連邦取引委員会、フェアトレード・コミッションとは、その名の通り、公平な取引を企業に厳守させるお目付け機関だよね。

これが資本主義の原則なんだけれど、独占的な立場にある企業、つまり一人勝ちしている企業は、実質やりたい放題なんだって。

例えば、マイクロソフトがそうじゃないか。

OS変更のたびに使いにくくなる一方のウインドウズ。

消費者を無視して勝手に不便にできるのは、俺たちがウインドウズマシンに頼るしかない弱みを利用しているわけでしょ。

アマゾンも、たしかに指摘されているようなことを言われても仕方ない、と思う。

S氏の指摘のように、人間の欲望はあくまでフェアな条件で競争することで満たされるべきであり、それが神の手となって、政府が介入しなくても理想の社会を作ってくれるはずだ。

しかし、人間はいかに楽をしてトクをするかを考える生き物でもあり、不正な抜け道を考えたり、汚職したり、闇市場を作ったり、独占的な地位をいいことにやりたい放題しちゃうんだな。

そうすると、アダム・スミス先生がおっしゃった、健全なマーケット・メカニズム神の見えざる手が発動しなくなっちゃうっていうことか。

そうか、経済学って、あくまで性善説を前提として作られたものだったのか。

S君に本当の経済学を教えてもらった気がする。

ありがとう、S君。

今日も暑いよ、みんなもお水補給忘れずに。

野呂 一郎
清和大学教授


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