なぜ、ライバル企業からの引き抜きオファーは核兵器に例えられるのか?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:転職オファーはあなたの人生にとって大きな武器になる、ただしそれは使い方次第という事実。
人生にマニュアルはない
昨日の続きです。
あなたは、日本の企業文化じゃあ、ヘッドハントがかかっても、上司に言えるわけないじゃないか、とおっしゃりたいんですね。
そんなあなたは本当に優秀だと思います。
それは、洋の東西とか企業文化の差など関係なく、交渉というものは、文脈を考えることがまず第一だからです。
あなたはそれをよくわかっていらっしゃる。
上司の性格、企業の事情、そしてあなた自身の事情、そんなことを考えて、上司に相談するかしないかを決める、これが交渉というものです。
しかし、昨日からお話しているいわば米国流が、まったく使えないというわけではないと思います。
それこそ文脈次第ですね。
さて、昨日の続きをお話しましょう。
”オファーの強さ”で交渉も変わる
そのオファーがどのくらい強力なのか、それは提示されたカネが物語ります。
オレゴン州ポートランドにあるナイキの報酬担当ディレクターの、「Fair Pay」の著者、ディビッド・バックマスターさん(David Buckmaster)はこう語ります。
「10%以上のギャラアップのオファーだったら、お手上げだね」。と、引き止めるのは難しいとの判断です。
バックマスターさんは、物騒なたとえを出します。
「ライバル企業からのオファーをもらったということは、核兵器を持っていることに等しい、超絶な強みなのだ」。
どういうことでしょうか。
要するに、他者からの誘いは、あなたのこれからのキャリア形成にとって、最強のカードであり、それを戦略的に使えるか使えないかで、あなたの人生が大きく変わる、という意味です。
核兵器の例えは、「使うことははばかられる、いや、使ってはならないが、核保有をちらつかせることで、交渉が有利に進み、あなたの価値が上がる」、ことを意味します。
バックマスターさんは、まず、注意を呼びかけます。
「敵の企業からのオファーを餌に、昇給の話を持ち出してはだめだ」。
ようするに普通の企業のマネジャーならば、それを多かれ少なかれ、「裏切り、ととる」というのです。
あなたが女性ならば気をつけるべきこと
アメリカはこれだけ、ブラックライブズマター、などが盛り上がりを見せている割には、まだ現実の差別は残っています。
給料の差別がそれです。
男女不均衡、そして外国人に不利な賃金体系が厳然としてあります。
現実に賃上げ交渉をするだけで、ペナルティを課される場合もあるのです。
あなたが、女性もしくは外国人であれば、ヘッドハンティングのオファーが来て、昇給の話を持ちかけるのは、その意味でもNGかもです。
ただ、やるなら理論武装して反論できる用意をしておくことです。
その他重要なポイントは以下です。
論理で攻めよ
この記事はヘッドハンティングのオファーを、レバレッジ(leverageてこ)と表現しています。
オファーを利用して自分のキャリアをいくらでもいい方向に持っていけるという意味です。
交渉は論理を中心に行わなければなりません。
たとえば、ライバル社に移る代わりにリモートワークを増やせと要求するならば、あなたがパンデミックの間在宅で仕事をしていた時、どのくらい生産性が上がったかをデータと口頭の説明によって、証明できなくてはなりません。
要求はシンプルに
バックマスターさんは言います。「マネージャーは普通、あなたのお給料を左右する権限と能力を持っていません。おそらく昇給を含めたあたなから提示されれ条件と理由を上に上げるでしょう」。
でも、その際、あなたの言い分がめんどくさいと、電話連絡でボスが上に繋いでいくうちに、最終意思決定者のところまで行く間に、「伝言ゲームtelephone gameあるある」で、あなたの言い分がまったく変わってしまっていることもありえます。
だから、要求とその理由はシンプルにしましょう。
タイミングに注意
もし条件交渉をするならば、あなたの会社の恒例、全社的人事査定が終わった6ヶ月後にしてください。
あなたの給料を決めるHR(人事)の担当者やボスは、全社的評価で忙殺されているところにもってきて、あなたの案件もやらなくてはなりません。
そうすると、他人の案件と紛れてしまい、あなたの希望する昇給が消えてしまいかねないのです。
業界とのパイプを太くするチャンスだ
他社に移ろうが、移るまいが、ヘッドハンティングのオファーが来たことは、他社の実情を知るいい機会です。
働く環境の何が、自分の会社に何が足りないか知るチャンスでもあります。
ヘッドハンターともつながることができました。
これをきっかけに、業界における様々なリレーションシップを築き、それを強固にしていってください。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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