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消費者との距離を縮めるジョブチューン・マーケティング

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:専門家に味をチェックさせる番組がジョブチューンだが、この番組に出ても商品が売れるようにならない。なぜならば消費者は品質を求めているのではなくて、ドラマを求めているからだ。

ジョブチューンに出ても売れない

ジョブチューンって番組は、なんか見ちゃうよね。

誰でも一度はいったことのあるチェーン店のお料理をプロが採点し、不合格でも、合格でも、チェーン店で料理に深く関わった女性が泣いちゃうっていう番組だ。

https://qr1.jp/qHgYZF

それを見てなぜだか感動するのは、日本人の好きな「一生懸命」が表現されているからじゃないのかなあ。

だけどさ、あれはショーとしては面白いけれど、マーケティングとしては意味がないよね。

なぜならば、一般庶民のテイストと、本格的な料理を作るプロのテイストはかけ離れているからさ。

昨日見てて笑っちゃったのは、ドミノピザのナンバーワン人気のマルゲリータが、不人気判定をもらってたってことだ。

庶民はドミノのマルゲリータが好きなんだから、それでいいじゃない。

なぜ、プロのグルメすぎるテイストに合わせて、人気ナンバーワンの味を替えなくちゃならないんだ?

ドミノのターゲットは庶民であり、高級店のターゲットはお金持ちで、そもそも違うのに。

庶民は値頃感と、それに見合った味であればいいのだ。

それなのに、高級店のシェフが、金持ちグルメを満足させるという観点でジャッジしている。

チグハグすぎるよ。

テレビの威光

やっぱりなんだかんだ言って、テレビは強い媒体なんだ。

あの番組で取り上げられるっていうことが、最高のプロモーションなんだ。

https://qr1.jp/t2eNiP

だから、ダントツ人気の商品が、プロに酷評されてもいいんだよ。

むしろ、これでもかとダメ出しされて、女性を泣かすくらいの流れのほうがいい。

その「感動」こそが、商品と会社の価値を上げるからだ。

テレビ局としては、「感動の絵」を作りたいから、企業に次のようなキャスティングを要求する。

「一生懸命で、商品への思い入れが強く、感情の起伏が激しい若い女性の開発担当者をピックアップして下さい」。

距離を縮めるマーケティング

企業がジョブチューンに出るメリットは、しられざる企業の内幕を視聴者に知らせることができることだ。

チェーン店のメニューなんて、どうせ冷凍食品だろ、という我々のあなどりを見透かしたように、「こだわり」を見せつけてくる。

えーっつ、あのラーメンって何度も試行錯誤していたのかよ、とか、原材料をそんなに吟味していたんだ、などの意外な事実を聞かされると、「案外やるじゃん」となる。

一種の「ギャップ萌え」だ。

https://qr1.jp/JbcoyD

意外な事実を、それも視聴者が好もしく思ってくれる情報を、テレビで放映するのは、いいプロモーションになる。

結局、ジョブチューンという番組は、企業の一生懸命さ、名物開発担当の女性の失望と歓喜、しられざる意外な情報を、テレビを通じて「ドラマ」として提供し、企業と人々の距離を縮めるという、新しいマーケティングなのです。

野呂 一郎
清和大学教授




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