日本はロシアの蛮行を止められなかったのか?

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ロシア、ウクライナ侵攻に隠されたいくつかの事実。ウクライナ侵攻を日本は止められなかったのか。日本は世界平和のために何をすべきか。

ここ2週間のロシアによるウクライナ侵攻に関するThe Wall Street Journalの論調について、読者の皆様にお伝えしたいと思います。

非常に気になる論点をリストして、ちょっと解説を加えたいと思います。

1.アメリカの諜報機関の情報収集能力

ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカメディアへの生中継のビデオメッセージでこんなことを言っています。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fnews.tv-asahi.co.jp%2Fnews_international%2Farticles%2F000246062.html&psig=AOvVaw3eppaqGp7iJz3VRGKt7CjK&ust=1646139720996000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiK6uq7uqL2AhWLHaYKHUN1ACgQr4kDegUIARD8AQ

「皆さんが、私をライブで見るのはこれが最後になるかもしれない。なぜならば、アメリカ諜報部がプーチンの計画として予告した事項はすべてあたっているからだ。『ロシアの今回の戦争のビジネスモデルは、ウクライナ高官を暗殺することであり、その第一のターゲットが私なのだ』」

前掲ビデオメッセージより

アメリカは数週間前から、「ロシアはウクライナに戦争を仕掛ける」と言っていて、それが現実のものになりました。

ウクライナ当局でさえ、本気にしてなかった戦争勃発を宛てていたのです。

アメリカ諜報部とは、CIA、FBI、その他軍事諜報機関を指すと思われます。

戦争に限りませんが、アメリカのことごとくの勝利はその情報収集能力によってもたらされています。

特に政治では、仮想敵国に対する諜報活動は、どの国にも負けません。

今回もロシア当局よりも、ロシア情勢に関する情報を持ち、それを縦横に分析していたのです。

戦いに勝つには、情報とその分析の質が決めてです。

2.パックス・アメリカーナ(Pax Americana)の後退


パックス・アメリカーナとは、第二次大戦後、アメリカの影響力のもとにあった諸国、諸地域が享受した比較的平和で安定した期間を指します。

中世ローマ帝国を中心としたパックス・ロマーナ(Pax Romana)、イギリス大英帝国を中心とした1815 年から 1914年まで続いた、パックス・ブリタニカ(Pax Britanica)になぞらえて、この言葉が誕生しました。

パックスアメリカーナの一般的な理解は、アメリカの軍事力に同盟国が守られてきた状態をいいます。

しかし、パックス・アメリカーナは終わったとする説が有力です。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3Dg4yeHdiU1y0&psig=AOvVaw3B51mTk24S1obV3XAowUPU&ust=1646140009415000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiWxq7Fu6L2AhUNS_UHHSayDn0Qr4kDegUIARDiAQ

外交メディアの最高権威フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs) によれば、2015年オバマ大統領の中東政策でパックス・アメリカーナは終わったと論じました。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2FForeign-Affairs-US-March-April%2Fdp%2FB084QN6RF1&psig=AOvVaw2aY1aWSiYokjsn0977DV_Z&ust=1646140136658000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiq64SCvKL2AhWTet4KHc3LAn8Qr4kDegUIARCtAQ

またニューヨーク・タイムズはトランプ大統領が米軍をアフガンから撤退させたのが、パックス・アメリカーナの終焉と報じました。

そもそも、第二次大戦後の世界の安定は、大国が交戦したがらなくなっただけで、アメリカの影響は関係ないという人もいます。そうするとパックス・アメリカーナなどないことになります。

The Wall Street Journalが、ロシアの開戦をパックス・アメリカーナ衰退が原因と言っているのは、要するにアメリカが唯一の軍事大国でなくなり、ロシア、中国に肉薄を許しているという事実を指摘したいのでしょう。


3.プーチンの異常なヒロイズム

ウォールストリートジャーナル・オンライン版2月25日号はプーチンのウクライナの大量虐殺(Putin's Ukraine Slaughterhouse)と題して、記事の冒頭、こう書いています。

この血なまぐさい現実は、世界に一つのことを警告している。それは、プーチンのヒロイズムが異常なカタチで爆発したことだ。世界はそれを忘れてはならない。

前掲The Wall Street Journalの記事を意訳しました

プーチンが独裁者であるだけでは、今回の蛮行は説明がつかず、The Wall Street Journalはstirring heroism(異常なヒロイズムの爆発。筆者意訳)と表現しているようです。 

4.帝国主義

前掲The Wall Street Journalは、今回の戦争はすでに世界でここ数十年行われてこなかった、「帝国主義の戦争」と言っています。

帝国主義とは何か。

帝国主義とは、力の行使を通じて他国の領土を略奪し、支配権を獲得する行動であり、政策である。同じ目的を持って、間接的に、政治的及び経済的コントロールを得ようとする行動も、帝国主義である。

(ブリタニカ辞書)

ここ数十年、世界には帝国主義による戦争はなかったのです。

前掲The Wall Street Journalによれば、ここ数十年の戦争は、戦争自体がひどいものであったが、理由は受け入れられるものだった、と言います。

中東、アフガニスタンで戦争は戦われたが、もちろんそれはおぞましいものであったが、それはテロリストを駆逐するためであったり、棄権な独裁者を排除するためであったり、イスラエルにおける戦争がそうであったようにミサイル攻撃に対しての防御の戦争であった。

前掲The Wall Street Journal

しかし、今回の戦争は帝国主義のそれ、というのです。

つまり、強国が弱国を従属させる目的で、征服しようとする力の行使です。

同紙は「この帝国主義的侵略は許されるべきではない。何十年も平和にあぐらをかいている西欧人は、今回のことを教訓にすべきである」と結んでいます。

日本は何ができるのか

僕は、今回のロシア侵攻を許した件に限らず、外交努力がまったく足りないと思います。

今回、僕が外務大臣だったら、日本が独自の方法論で獲得した独自のロシア情報を西側主要国と共有して、ロシアのウクライナ侵攻を止めますね。

先に申し上げたように、外交も他の勝負と同じく、情報がカギをにぎるんです。

普段から、もっとロシアとのパイプを太くするなり、研究者を増やすなり、外務省から若手をスパイに出すなりして、独自の情報をとる努力をせよ、と言いたい。

もちろんこれは、ロシアだけじゃないですよ。

優先順位はつけなくてはならないが、すべての国に対して、です。

まあでも、そもそも、日本という国自体が、何でも他国まかせで、自分たちがリーダーシップを取って、世界平和に貢献しようなんて気がないんだよ。

なぜ、自分たちが世界のリーダーシップを取って、世界平和に貢献しようとしないのか。

さかのぼればそれは、教育に原因があります。

大体、政治って学校で教えているんだろうか。

政治に興味を持つような教育をしているんだろうか。

というよりも、世の中を良くしようとか、良くするためにどうすべきか、ということをいったい中学、高校、大学でやっているんだろうか。

世界と話すための、共通技能である「議論」という科目はあるのだろうか。

英語のディベートという科目は、どこかにあるのだろうか。

ああ、またいつも言っていることに戻っちゃったので、今日はこのへんで。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

じゃあ、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。

                              野呂 一郎

               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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