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【PIT】これは何かの予兆か?Ali Sanchezと契約

公式アカウントから先日発表がありましたが、2024年も「MLB30球団ファン合同note」のPittsburgh Pirates(PIT)担当を務める事になりました。改めまして“のば”と申します。

21年は66本、22年は67本、そして今年はこの投稿で56本と質を量でカバーするスタイルでここまでやってきましたが…来年は本数が減ってしまうかもしれません。その代わりに少ない時間で質を上げられれば良いんですが。

さてさて、ここまでマイナー契約など地味な動きしかいなかった我らがPITですが、現地12月1日にようやく動きがありました。26歳のC・Ali Sanchezとメジャー契約しています。

ベネズエラ出身のSanchezは13年にINFAでNYMと契約して20年にMLBデビューを果たし5試合に出場、翌21年にSTLへ移籍するも2試合の出場に留まっています。22年はSTLとDET傘下の3A級で、23年はAZの3A級でプレー。

MLBでの実績がほぼなく直近2シーズンは昇格すら出来ていない、元トッププロスペクトという訳でもない選手に、ウィンターミーティングも始まっていなかったタイミングでメジャー契約を与えたのはかなり驚きました。


Sanchezはフレーミング・ブロッキング・スローイングとCに必要なスキルをひと通り備えている、マイナー時代から非常にディフェンス面の評価が高かったCです。

一方でコンタクトは悪くないもののパワーレスな打撃がなかなか伸びず苦労していた訳ですが…今季3A級での成績を見ると成長の跡が見られます。

['21] AVG .275 / OBP .322 / SLG .363
['22] AVG .262 / OBP .354 / SLG .389
['23] AVG .311 / OBP .375 / SLG .492

AZ傘下3A級は打者有利で有名なPCLなのでスラッシュラインをそのまま信じる訳にはいきませんが、それでも(球場補正を加味した)リーグ内での傑出度を示すwRC+は108と平均を超えキャリアベストの数字。

statcastの数字を見ると要因は明らかで、21年から平均のLaunch Angleが-7.3°→3.9°→9.8°と打球が上がる様になった事。それに伴ってGB%も48.5→48.3→41.8とゴロが減りラインドライブの打球が増えています。

また、昨季と今季の成績を比較するとBB%が12.0%→9.7%に悪化したものの、K%は26.5%→15.7%と大幅に改善されているのも見逃せません。BB/Kは0.46→0.62と平均以上に。


実は彼がPITのロスターに入るのは初めてではないのです。22年の10月18日にウェーバークレームでDETから獲得して、12月2日にAZからウェ-バークレームされるまでのわずか約1カ月半ですが在籍しています。

オフ期間なので1秒もユニフォームは着ていないんですけどね。昨年からGMのBen Cheringtonは以前から彼の事をある程度評価しており、今季の打撃改善が決め手になったんでしょう。

しかし…しかしですよ。マイナー待機という選択肢があるなら分かりますが、Sanchezは既にマイナーオプションを使い切っているのです。つまり(故障でもしない限り)彼の開幕ロスター入りはほぼ確実という事。

現在PITのロスターには昨季昇格後に多くスタメンマスクをかぶったEndy Rodriguez、そして地味ながらバックアップCとしてコツコツ実績を積み重ねるJason Delay、最後に20年ドラフト全体1位で昇格後は主にRFで起用されたHenry Davisの3人がいます。

Sanchezも含めて全員20代のこの4人を来季どのように運用していくのか、要らぬ邪推をしてみました。


【仮説A】4人体制持続

Sanchez以外の3人はマイナーオプションが残っているので、シンプルに考えれば「RodriguezとSanchezの2人で開幕・DelayとDavisは3A級待機」という形でしょう。

Delayもロスターに入れて3人体制という可能性もゼロではないものの、(他ポジションで起用出来ない)守備型のバックアップCを2人入れるのはどう考えても非効率ですよね。

打力を活かしてDavisを本格的にRFコンバートというのもチラつきますが、それに関しては監督のDerek SheltonがCとしての成長に期待する旨のコメントをしています。

おそらくですが彼は来季開幕を3A級で迎えて、スタメンマスクをかぶりながら経験を積ませる形になると思われます。 ※平行してRFの練習も続けるでしょうが


【仮説B】Jason Delayをトレード

仮設Aの続きにはなりますが、3A級スタートになるのであればDelayはトレードで放出しても構わないと思います。彼はMitch KellerのパーソナルCとして今季存在感を示し、デビュー2年目で70試合に出場した28歳。

MLBで上位25%に位置する高いフレーミング技術と(意外性があり)AVG .251/OBP .319/SLG .347と最低限の打力を持ち、遅咲きな事も含めて何となくJacob Stallingsを彷彿させます。

28年オフまで5シーズン保有出来ますが天井が高いタイプではないので、マイナーでキープしておくくらいならfWAR +1.1を稼いだ今オフに売ってしまうのも有りかと。

どちらにせよ3A級スタートなら、Davisがいる以上充分な出場機会を与えられないですしね。もちろんトレードしてもそれほど良い対価を得られるとは思っていません。


【仮説C】Endy Rodriguezをトレード

まず無いとは思いますが、この可能性もゼロではないでしょう。Sanchezとメジャー契約で獲得した意味を考えれば、少なくとも「RodriguezかDavisどちらかを放出するなら前者」だと考えます。

昨季マイナー3階級でAVG .323/OBP .407/SLG .590と大爆発した打撃は今季MLBでAVG .220/OBP .284/SLG .328とまだアジャストの途中ですが、410.0回でDRS +3と守備でプラスを生んだのは思わぬ収穫でした。

シーズン中に移籍したAustin Hedgesらも含めて今季PITのCが稼いだfWARは+2.5。開幕からしばらくはSanchezとDelayで何とか耐え凌ぎつつ、シーズン中に満を持して正CとしてDavisを昇格。

そしてRodriguezの対価としてヤングコントロ-ラブルなスターターorパワーバットあたりを獲得出来れば理想的…ではありますが、書いてみるとやはりリスクが大きすぎます。


まぁ、実現の可能性は仮設Aが60%・仮設Bが35%とすると仮設Cは5%程度しかないでしょうが。オフやTDLにこういう妄想をするのは楽しいですよね。

ウィンターミーティングが始まりトレード成立やマイナー契約の話題もあるので、また近々投稿します。



«参考文献»


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