見出し画像

名大アフォリズムの最前線


Aphorism

文学形式の一つで,思考や観察の結果を簡潔な形で,皮肉に,辛辣に,諧謔(かいぎゃく)的に述べたもの。警句あるいは箴言,金言,格言などと訳される。

世界大百科事典「アフォリズム」




Aphorism

「神は死んだ。」

ニーチェ(古典文学研究者)

芸術は長く、人生は短し。」

ヒポクラテス(哲学者)

名大はつまらない」

名大メディア(サークル)


多くの偉大なる哲学者が人生や社会を思索した。

その思想の体系を端的に表した言葉こそがアフォリズムである。名古屋大学も東海地方の最高学府として、その深い歴史のなかで多くの思考や行動の受け皿となり、そしてアフォリズムが醸成された。

この記事では、名古屋大学に存在している最新のアフォリズムを2つ紹介する。




Aphorism <1>





遠い道をゆくだけです。」

三和酒類(酒造メーカー)


大分県の酒造メーカーである三和酒類。主力商品の麦焼酎「いいちこ」は発売から45年近く経過している。愛称は「下町のナポレオン」。愛称通り、多くの人が愉しめるお酒であり、今も昔も変わらない人気を誇っている。


こちらのキャッチコ、ゲフン! アフォリズムは名古屋大学駅に掲示されていたポスターのもの。写真では伝わりにくいがサイズは大きく、見る人を立ち止まらせるような強い印象を与える。

1度立ち止まらせる、
それこそがこのアフォリズムの内面にある。




名古屋大学の迷走

近年の名古屋大学は迷走に迷走を重ねている。その一つが国際卓越研究大学。名大は貧乏すぎて電気代が払えない(その割には時計や教室を青色に光らせるという謎イルミネーションを行う)ので喉から手が出るほどお金を欲しがっている。

その悩みの中与えられた一縷の光こそ国際卓越研究大学。この大学に指定された場合、最大10兆円の資金援助が受けられる。

そのお金の重みを今を生きる大学生にも分かりやすく伝えると、パチンコ「Pフィーバー機動戦士ガンダムユニコーン」で14万回連チャンしなければ稼げない額である。確率にすると0.000005%。宝くじの1等当選確率とほぼ同じである。ちなみに1パチだと52万回。



え、宝くじ無理ゲーじゃね?



とりあえず10兆円が浮世離れした金額だということを知っていただいて本題に戻る。

この大学は日本の中でたった数校(実際は1つのみ)しか選ばれないらしく、名大はそれに値すると思わせられるような大学作りへと取り組む。全学に対するアントレプレナー教育(起業家教育)の必修化などは記憶に新しいだろう。



しかし、それでいいのだろうか。

大学運営はお金が無いとできないのは言うまでもないが、果たしてそれは目的になっていいのだろうか。東海地方の知の主翼を担わねばならない大学が、お金に囚われて、起業に囚われて、金銭的な利益で学問を見るようになっても良いのか。

こうした考え方の弊害が末端神経ではもう出ている。文学部はお金に最も縁がない学部であるが、建物傍の花壇は朽ち果てベンチは腐っている。これが「利益が出るか」で知を評価しつつある名大の実態である。

この道は本当に正しいのか。

目先の道草に気を取られていないか。


「遠い道」を進んでいないだろうか。





このアフォリズムは名大当局に関する警鐘として、今日も名大駅に佇んでいる。



名ばかりの成功者になるよりも、真の価値ある人間になれるよう努力しなさい。

アインシュタイン(科学者)




Aphorism <2>





この道まっすぐ奥

カフェブラン(カフェ)



「道」関係でもう1つ。道は人生のメタファーとして理解しやすいので、数多くのアフォリズムに用いられている。

この道より、われを生かす道なし。この道を歩く。

武者小路実篤(作家)


トルストイに心酔し、文壇の世界を超えてでも自らの理想郷の創造を目指した武者小路の生き方が垣間見える、秀逸なアフォリズムである。では、名大の一角にあるカフェブランはそのアフォリズムから名大生にどのような生き方を伝えるのか。


臆病な名大生

冒頭で紹介した「名大はつまらない」とある通り、名大生は保守的な思考を持つ人が多いと言われている。やはり驚異の地元占有率から伺えるように、幼い頃からの「地域トップ高に進んで、名大に行きなさい」という強い期待が生き方を狭めてしまうのだろう。

また、地元占有率の高さは、東海地方外から来た人を少数派にし、考えを慎重にさせてしまう。他地方から来た人の学生時代の破天荒ぶりに驚かされることも多い。

親も地域も先生も、誰も道を指し示さない。

その恐怖からは逃れられず、名大生はより臆病に、より慎重に、そしてより保守的に。こうした名大生が多いから、「名大はつまらない」と批判されている。


だが、考えてみてほしい。「人の期待に沿って生きる」「保守的に生きる」その生き方は本当に批判されなければならないのか?自らの今まで進んできた道、それを進み続ける他は無い。




アントニオ猪木  引退時のスピーチ


この道を行けばどうなるものか。

危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。

踏み出せばその一足が道となり、

その一足が道となる。

迷わず行けよ、行けばわかるさ。

行くぞ!

1・2・3・ダー!

アントニオ猪木(参議院議員)


道というものは自分からは見えない。

だから臆病になってしまったり、尻込みするのは当たり前である。そして、「だからこそ進め」という軽い気持ちでいえるものでは無い。

しかし、しかし、進まねばならない。

自らのこれまで歩んできた道を。迷っても、危ぶんでも、1歩ずつ歩いて自らの道、すなわち人生を自分の力で切り開き、創らねばならない。

まっすぐに、暗がりの道を、奥へ奥へと。



この道、まっすぐ奥。







僕の前に道は無い。僕の後ろに道はできる。

高村 光太郎(彫刻家)




テスト&レポート頑張ってください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?