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行政が絡んだ2つの社会実験②

相変わらずの日南市~本当に奇跡の商店街なのか?

宮崎県日南市はシャッターが閉まった商店街を復活させたことで『奇跡の商店街』ともてはやされたことがあった。

しかし、実際は数字上だけのことで、新規店舗を目標通りの数に誘致し、それをもって「商店街が復活した」と騒いでいるだけで、下記の動画を観ていただいても、復活したとは言い難い状況である。

それは、今でも変わらない。

この動画は2016年のものである。


こちらは2017年である。


BUS HOUSE

このようなか、BUS HOUSE事業を展開している株式会社DADAと日南市は、社会実験として、2020年2月1日から29日まで、広島東洋カープのキャンプに訪れる方々の宿泊施設を確保するために、日南市材木町にある堀川夢ひろばに、2台のBUS HOUSE を配置し、利用を行った。

バスを改造したキャンピングカーをユーザーが選択した場所にて移動できない状態で貸し出し、キャンピングカーという「空間」に対するニーズの多様化に関する社会実験である。

内閣官房が主導する新技術等実証制度「レギュラトリー・サンドボックス」にインバウンド関連にて国内初の認定を受けたようだ。



2020年2月27日、このBUS HOUSEを利用してみた。

JR日南線鉄道応援隊の隊員(隊員番号378)になったばかりで、さっそくJR日南線を利用して、宮崎駅から油津駅まで出かけた。

午後3時過ぎ、BUS HOUSEが泊まっている堀川夢ひろばへ。

広い公園内に、ポツンとバスがあった。

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特に受付のブースはなく、係員らしき人物がどこからともなく現れ、その係員からBUS HOUSEのカギを受け取り、一通り車内の説明を受けた。

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#001ということで 、もう1台この公園に止まっているはずだったが、#002のBUS HOUSEは見当たらなかった。

シンプルでスタイリッシュな空間?

事前に「YouTubeで車内を紹介することはできない」と聞いたが、SNSでの発信は問題ないということだたった。動画が禁止の理由がなんとなく分かってしまったが・・・

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当初は、『2段ベッド』と聞いていたが、車内を確認すると2段ベッドではなく、上記の写真のような感じであった。

このBUS HOUSE #001は

デザイナーズホテルを彷彿させる、シンプルでスタイリッシュな空間がコンセプト

とのことだが、ベッドの造りを見て、がっかりした。

棺桶とまではいかないが、シングルベッドサイズの周りをベニヤ板で囲み、寝返りもろくにできなかった。ま、ベッドマットと毛布、布団はそれなりではあったが。

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ベッドの反対側には、ソファーとテーブルがある。ソファーの座り心地は問題なかった。

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テーブルも十分な大きさで、ノートパソコンを開いて仕事をするには十分なスペースであった。

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ただ、このテーブルの下にオイルヒーターがあった。夜にこのオイルヒーターをつけたが、部屋が十分に暖かくならない。理由は簡単だ。

オイルヒーターの真上にテーブルがあるため、温まった空気が循環しないのである。うーん。

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その後ろには、電気ポットが置かれている台と、ちょっとした手洗いシンクがあった。シンクは下にタンクが収納されていて、電動式。

ただ、このシンクで水を使うと、電動ポンプの水を汲み上げる音が止まらない状況となり、コンセントを抜いた。うーん。

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アメニティはご覧のとおり。

が、何か足りない。

このBUS HOUSEはキャンピングカーと同じ扱いでも、ある場所に留まって、お客様に宿泊施設として利用していただくためのものである。

何が足りないのか。そう、

おもてなし

である。

私は宮崎市に住んでいるが、県外から来られたお客様に対するおもてなしが、ない。

アメニティグッズとともに、日南市の観光パンフレットとか、近場の食事処を紹介するものとかは必要だろう。

この社会実験、日南市との社会実験のようだが、日南市の気配はまったく感じない。

人気テレビ番組、『ポツンと一軒家』ではないが、

堀川夢ひろばにぽつんとバス1台

である。

で、夜は・・・

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堀川夢ひろば近くにある、『堀川レストラン とむら』で焼肉を食べた。

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私は、1980年代後半、日南市飫肥に住んでいたので、日南市のことは良く知っているが、それでも観光情報、グルメ情報は欲しいところである。

夜のBUS HOUSE

さて、夜の車内はこのような感じである。

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窓ガラスはマジックミラーで、そして、ブラインドを下ろすこともできる。ブラインドを下ろさないと、マジックミラーだけで照明をつけると車内が丸見えである。

照明をつけると、なんとなーく「デザイナーズホテルを彷彿させる、シンプルでスタイリッシュな空間」に見えてくるのが不思議だ。

照明は切り替えることができる。

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これは、ベッドのみの照明。

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テーブルでノートパソコンを開いてみた。

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なんとなーく、良い雰囲気ではある。

しかし、このBUS HOUSEには大きな欠点があったのだ。

夜間は車内が丸見え!

ブラインドを下ろしても、車内が丸見えであることが発覚!

車内への入り口である乗降ドアのガラスはマジックミラーになっているが、ブラインドはない。

当然、夜になるとマジックミラーは何の役にも立たず、入り口の窓ガラスから車内が丸見えである。

そして、なんと、後部ドアの窓ガラスもブラインドはなくマジックミラーのみで、照明をつけると丸見え。

着ていたジャンパーをハンガーにかけて、後部ドアの窓ガラス付近につるした。

これは宿泊施設としては、まったくダメである。

客のプライバシーが守られていない

のである。

しかも、他にも驚くべきことが!

セキュリティは大丈夫か!?


BUS HOUSEの係員から、確かにカギはいただいた。

そのカギでドアを開けて車内に入った。

さて、車内からカギをかけようとしたが・・・

車内からカギがかけられない!

私と一緒に泊まった弟は、後部ドアに近いベッドで寝ていたが、乗降口に近い私は、車内からカギをかけることができないため、不審者が侵入してこないか心配で、ベッドからずーっと乗降口を見ていた。

おかげで、翌日は睡眠不足・・・。

で、セキュリティの問題はこれ以外にも!

後部ドアにもカギがかかっていなかったのだ。

しかも、運転席もカギがかかっていなかった!!

ギエーーーーー、である。

客の安全・安心、プライバシーを確保できないBUS HOUSEは大丈夫か?

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このように、運転席のドアにはカギがかけられてなかった。ドロボーさんがその気になれば、私たち兄弟は朝起きたら別の場所にいたかも知れない。

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このBUS HOUSEのコンセプトである「デザイナーズホテルを彷彿させる、シンプルでスタイリッシュな空間」で楽しむはずだったが、あまり、というか全然楽しめなかった。

社会実験とは言えども、客から金(1台8,000円)をとり、それなりに宿泊させるわけで、客の安全安心を確保することは当然のことなのだが・・・。

トイレは公衆便所、シャワーは・・・

ついでに、宿泊中のトイレは、堀川夢ひろばの公衆便所。

ま、これは仕方がないことかも知れないが、シャワーに至っては堀川夢ひろばからかなり離れている油津商店街の中にある宿泊施設まで歩いていなかければならない。

しかも、そこの宿泊施設の管理人の都合で、午後10時から11時までの間でしか利用できないとか・・・。

BUS HOUSEの係員から、車で15分ほどかかるホテルの温泉を紹介されたが、結局、この夜は焼肉とニンニクの臭いをプンプンさせて寝た。

全てにおいてトホホな社会実験

地元マスコミだけではなく、ネットニュース等でもこの社会実験が報道されたにも関わらず、2月1日から29日までの期間で利用された日は、わずかの8日。#002のBUS HOUSEも同じである。

定員は2名なので16人。2台合わせて32人しか利用していない。

ボンと威勢よく花火を打ち上げた割には、トホホな結果である。

利用する前は、株式会社DADAの担当者から何度となくメールが届き、「気配りが行き届いているな」と感じたが、チェックアウト後、「ご利用ありがとうございました」というメールも何も届いていない。

こんなもんである。

『奇跡の商店街』『油津カープ商店街』『カープ一本道』『日本一のカープ駅』と、いろいろなアイデアで街づくりを進めているにもかかわらず、空回りしているのは、なぜなのだろうか。

がんばって街づくりを展開していれば、自然と街づくりの輪が広がって発展していくものである。


日南市は、慢性的な宿泊施設不足ではない。宮崎市からでも十分に日帰りで行ける範囲である。

先ほども書いたように、打ち上げ花火的なプロジェクトをいくらやっても、それが日南市民のためになっているとは思えない。

今回のBUS HOUSEの社会実験、着想は面白い。

が、詰めが甘い。

セキュリティとおもてなし

これだけはきちんと行って欲しい。

ま、何はともあれ、貴重な体験をすることができたことは良かった。

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以上。


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