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11年前から届いたタイムカプセル【宿題】

ちょうど5年前の今頃まで、私の本棚には11年もの間1冊のアルバムが保管されていた。

学生時代に所属していたボランティアサークルで毎年夏にキャンプに行っていた。

お子さんひとりに対して学生がひとり担当することになっていて、キャンプ終了後に記念として学生がアルバムを作ってご家庭に渡していたのだ。

そのアルバムがなぜ9年間も私の手元にあったのか。お恥ずかしい話だが、単純に私がサボったという理由以外にない。

2014年のある日のこと。断捨離魔神の妻から詰め寄られた。

「いったいこのアルバムはいつまで置いてておくの?どうするつもりなの?」

まったくである。私はこれをこのままどうするつもりなのだろうか。

「いまさら作ったところで連絡先知らないし渡すことできないよな。」

「いや、ちょっと待てよ。○○(ボランティアしていた学童保育施設の名前)に送れば手元に届くかもしれない。」

googlemapで調べてみると幸いにもまだその施設はあった。

「よかったじゃん、届くかどうかは分からないけどとりあえず送ってみなよ」

そういわれて、そうすることにした。

とはいえ、それをそのまま送ればいいわけではない。

まずはアルバムとして完成させなくては。

大量にある写真とキャンプの日程表を見ながら、11年前の記憶を辿っての作業。作り始めるまでには11年もの時間がかかったが、作り始めたら数時間で終わってしまった。

アルバムを完成させて終わりではない。詫びなくてわ。

まずはお母様。

続いて、施設。

当たり前だが、詫びに詫びている。

アルバムに2通の手紙を同封し、届きますようにと願いを込めて宅配便で発送した。届いたとしても連絡がくるとは限らないし、プンプンで受け取ってもらえない可能性だってある。

送って2週間ほど経ったころ電話がかかってきた。施設のある地区の配達を担当している郵便局からだった。

何度か配達しようとしているが、誰もおらずいまだ渡せていないのだが、どうしますか?

そう、私はあるミスを犯していた。手紙の日付を見てみると8/10となっている。

ちょうどキャンプ時期だし、夏休みだし、放課後学童保育の施設なので長期休みに入っていたのだ。

事情を話し、電話先の郵便局の方にもう少し粘るようお願いして電話を切った。


これは記録が残っておらず、ひょっとしたら私の記憶違いかもしれないし、妄想かもしれないのだけれど、9月に入って施設からアルバムが届いた旨、連絡があった。

その数カ月後、2015年のお正月のことだ。嬉しい年賀状が届いた。

当時10歳だった彼はもう成人していて、児童を対象にしているその施設にはもう通っていないし、当時働いていたスタッフももういない。そういう事情もあって、届けるのは相当な時間と労力がかかったに違いない。届けていただいたスタッフの方には本当に感謝している。

当時から気さくで気取らず優しいお母さんだったが、今回もその優しさに救われた。本当だったらイヤミのひとつでも言われて当たり前なのに、タイムカプセルだなんてなんて素敵なんだろう。

久々に見た彼の顔は21歳らしく大人っぽくなっていたものの面影はそのままで当時のことを思い出さずにはいられなかった。

11年という年月が彼を大人にし、私を父親にした。

次会えるのはいつのことやら。


再び繋がるきっかけをくれた断捨離魔神、ありがとう。

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