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知らないオッサンと飲んだら1万5千円奪われた(チュニジア②)

3日目

カルタゴ遺跡

3日目、天気は快晴で気持ち良い朝!気温は20度ほど。

旧市街のシンボル、フランス門。このようなフランス植民地時代の名残が街の所々に存在する。

今日は首都チュニスからカルタゴへ行き、世界遺産であるカルタゴ遺跡、そして美しい街並みで有名なシディブサイドを見物する。

世界史を真面目に勉強したことがないので、文化遺産に訪れる際にはwikipediaでそこの歴史をざっと把握している。
カルタゴとは、「紀元前にアフリカ北岸を中心に地中海貿易で栄えた、フェニキア人による国家」らしい。なるほど…

アフリカ北岸からイベリア半島に渡って繁栄したカルタゴ
最終的にはローマによって滅ぼされてしまう

カルタゴはローマとの長い戦争の末、紀元前2世紀にはローマに併合されてしまう。そのため、現在残っている遺跡は大浴場や闘技場といったローマ帝国による建造物が多くを占めているのだ。

造船場の跡地、分かりずらいが円形の湾のようになっている
カルタゴは優れた造船技術によって地中海の覇権を握ったのだそう

カルタゴでは遺跡間の距離が長いので、ゆっくり散歩しながら見て回る。
野良犬に懐かれ、1時間ほど一緒に行動した。すごく可愛いやつだったけど、狂犬病が怖くてあまり触れない…

チュニジアの野良犬にはもれなく耳にタグがついている
行政がきちんと管理しているんだなあ(インドと違って)

カルタゴ遺跡のメインスポット、アントニヌス浴場に到着!
ローマ帝国内でも3番目の規模を誇る浴場だそう。当時建物は2階建てで、更衣室、温浴風呂、水風呂、サウナ、プール、噴水、談話室、トイレなど100を超える部屋があったらしい。
海に望むロケーションが最高に美しい!

奥の円柱は大理石でできている

近くには立派な大統領官邸があった。
「撮影禁止」の看板とともに、機関銃を持った警察が何人か立っていたので、見物はそこそこに通り過ぎる。

天気は最高かつ観光客が少なくて行動しやすいので、上機嫌で次のスポット、シディブサイドへ向かう。

俗化した観光地、シディブサイド

シディブサイドは「チュニジアで最も美しい街」と言われているそうで、景観保護条例により青と白に統一されている。

確かに綺麗な街並み。チュニジアに来て初めて、観光客で混雑している。それでも外国人は僕たちぐらいだ。
地方から来たチュニジア人が多くを占めているようで、アジア人など滅多に見ることがないのか、
「チンチョンチャン!」
とか、
「ニーハオ〜ニーハオ〜w」
とか思いっきり馬鹿にしてくる若者がちらほら。
初めてこんなにあからさまにアジア人差別を受けるので、めちゃくちゃ腹立つ……
一応「日本人だわ!」と言い返してはみるものの、彼らからすればどうでも良いのだろう。

その一方で珍しいアジア人に対して好意的に接してくれる人たちもいるのがよかった。BTSのようなアイドルやNetflixの韓国ドラマのおかげで、アジア人が身近に見られている側面もあるんだろうなあ。

「写真撮ってください!」って来てくれた

チュニジアで絶対手に入れたいと思っていたお皿を買おうとお土産屋に入った。
カルタゴ焼きというらしく、青を基調とした色合いが本当に綺麗!!
僕が選んだお皿3枚に対して、いかにもボッタクリ慣れしていそうな店主が提示してきた値段は600チュニジアディナール(28,000円)。
言い値で買う筈はなく、頑張って250CD(12,000円)まで下げて決着。
それでも、こんな観光地のど真ん中で買わなければもっと安く買えたんだろうなあ…

カルタゴ焼き

うるさい人混みと土産物のディスカウントに心底疲弊したので、タクシーで宿に帰る。

怪しいオッサン

ホテルで1時間ほどゴロゴロ休んでから、夜の街をぶらぶらしに外へ繰り出した。
しばらく歩いていると、ある男性が僕たちに声をかけてきた。

「どこから来たの?日本?おーコンニチハ!」

明らかに怪しい男である。どうせ土産物屋の客引きか何かだろうと軽く受け流していたが、特に何かを売りつけようとしてくる気配はなく、「そこらへんの観光名所を案内してやる」と言うのだ。
そんなに信用できる男ではないが、まあ現地人との交流も旅の醍醐味だろうと言うことで彼と一緒についていくことにした。
今考えればその判断が誤りだったのだが…

彼曰く、経済学の学士を持っていて現在は警備関係の企業に勤めているらしい。
将来的には日本かどこかアジアの国のビザをとってそこで働きたいのだという。
実際、彼は大学を卒業していると言うのは嘘ではないだろうなと思わせるほどの語学レベルや教養を持っていた。
そんなこんなで彼のことをそこそこ信用してしまっていた僕らは、「少し飲んでくか?」と言う誘いに乗って、小汚いバーに入った。

店内の様子

そこでビールを飲みながら他愛もない話から、互いの国文化や歴史認識など、いろいろな話題で盛り上がった。
たとえば、「チュニジア人は旧宗主国のフランスに対してどのような思いを持っているの?」と言う問いに、
「基本的にはみんな過ぎたこととして受けてめているよ、フランスがオスマン帝国の支配から解放してくれたっていう見方もできるしね」と彼なりの見解を語ってくれた。
なんだかんだで2時間ほど経ち、瓶ビールを5本も飲み干してしまっていた。
最後には、「日本という素晴らしい国でいい教育を受けている君たちには明るい未来がまってる。俺がそう断言する!」なんて言われ、
「ああ、こういう思いがけない出会いはいいものだなあ」などと思っていた。

その矢先、
「それじゃあ、160ディナールね」
と言う男。
てっきり彼が奢ってくれるものだと思っていたから、ん?とは思いながらもビールによって判断力が鈍っていた僕は財布を取り出した。

いや待てよ?160ディナールって7,500円か?
ビールしか飲んでないから全員分(ビール計15本)だとしても高すぎる。
僕は聞き返した。

「160ディナールじゃなくて60ディナールじゃないの?」
「いや、君ら2人がそれぞれ160ディナール払って」

やられた。
2人で合計15,000円払えというのだ。
彼は外国人観光客に声をかけてビールを飲ませて判断力を鈍らせてから、払わせるという手口で金を稼いでいるのだろう。
おそらくこの小汚いバーもグルで、彼からマージンをいくらか渡されているのではないだろうか。

「どう考えてもビールだけでこの値段はおかしいでしょ!意味がわからない!」
と抗議したものの、
「俺が信用できないのか!?お前飲み過ぎだわ!w」
などと、強気に返される始末。

ここで無理に反抗したら怖い目に遭うかもしれない、おとなしく要求に従うのが安全策だろうということで、2人で160ディナールづつ払うことにした。
それでもなお、彼は僕の肩を強引に掴んで、
「よし2軒目いくぞ!!」
などと言ってくるので
「マジでもうホテル帰るから!ほっといてくれ!」
と腕を振り解いて走ってホテルに逃げ帰ったのだった。

こいつです

「向こうから話しかけてくる奴について行ったらろくな事にならない」
という格言は本当なのだと改めて痛感した出来事だった。
それにしても彼、こんなセコイお金の稼ぎ方をしなければならないとは思えないほど教養に優れていたなあと感じるのだ。

あの男は本当はどんな人生を送ってきてどこでどんな生活を過ごしているのだろうか…

4日目

旧市街でショッピング

4日目は昼過ぎのフライトまでの時間で、旧市街の商店街でお土産を探した。
ナブールという町で有名な陶器、ナブール焼きを買って帰りたかったのだ。
ここは地元民が買い物に訪れるエリアなので、値段は安くディスカウントする必要もない。昨日と違って疲弊する事なく買い物を楽しめた。

ナブール焼きのお皿2枚で40D(1,800円)
スーク(市場)は平日にも関わらずものすごい活気!
隣国アルジェリアから来たというマダムと

観光地&詐欺師に疲弊させられた昨日から一転、やはり地元の人の生活圏内を巡るのが一番楽しいね!


地中海とイスラム文化が融合した国チュニジア、いろいろな事態に見舞われながらも僕にとっては大好きな国だった!
また機会があったら、今度は南側の砂漠や遺跡にも訪れてみたいな。

それでは!

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