確認マニア

短期間のうちに何度も読んでしまう本
何度も繰り返し聴いてしまう音楽
抱きしめてしまう人、撫でてしまう犬

そのうち飽きてしまうと予想はつくが
無常を引き合いに出すタイプの落胆ない
なぜならそのブレイクのあとでも必ず
自分がそれらを必要とする予感があるからだ

それらは、全く得難い心地よい執着
それらが私の執着を嫌がらないのは
私がそれを鏡と捉えて
自分の性質を確認している、これは
モノローグだからだ

たとえばポルノグラフィー
何度読んでも同じように昂奮する箇所がある
紙に書かれた変形した棒の散らばりが
自分の肉体に変化を及ぼす中間地点を通るとき
私はわたし自身を確認する
私はこれで昂奮できると客観する
私は私というものが少し分かる

古い古い詩学という本だったかに
人は物真似を好む、とあった
政治家の真似、芸能人の真似、サルの真似
多くの人が知っているものを
誰かが真似ているのを見て嬉しくなる
それは、各々が独自に認識していたイメージを
自分以外の人も持っていた安堵と
そして自分の認識の確認ができたからだろう
犯罪者は必ず現場に戻るのも確認のため
たしかにヤッたのかを確認して安堵するのか
冷静になってからの認識を知りたいのか
人は確認マニアだ
あまりに確認しないで疾走すると
その期間の人間としての認識時間が飛ぶ
引きこもって30年生きるのが可能なのも
それだけ確認が魅力を秘めているから
健康とはほとほと程度を意味するのがわかるが

そんなことはどうでもいい

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