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形はつくるものではない 見つけるものだ

デザイナーは形をつくることが仕事ですが、上手なデザイナーに共通するのは、形を自分でつくるというよりも、形を見つけるように形を生み出す感覚を持っていることです。

綺麗な形がいい形とは限りません。目がこんな形をしているのは、見る角度を変更しながら脳に像を伝えるのに適切だからだし、コップがあんな形をしているのは、手で液体を口に運ぶのに都合のよい形だから。テーブルの高さが約70cm なのは、僕らが座った時に、ひじをつくとちょうど良い高さだからです。このように形は、周囲のものとの関係性と裏表の関係にあります。つまり形をつくるということは、その形が生み出す関係性をつくるということでもあるのです。だからいいデザインをつくるためには、我々が「形を自由につくる」という方法よりも、むしろ「その形になってしまう」関係性を見つけていく方法がずっと有効です。「表現」が「表に現す」と書くとおり、形をつくることの本当の意味は、裏に隠れた関係性が正直に形に現れている状態を見つけることなのです。

つくりたい関係性を見通した形をつくるためには、そこに何がふさわしいのか分かるようになるまで、周囲をよく観察すること。周囲が想像できるようになると、徐々に視界が晴れるように必要な形が見えるようになります。関係性と形を往復しながら生まれた率直な形が見つかると、まるでデザインされていないように思えるほど恣意性を超えたデザインにまで昇華できることもあります。そして、似た関係性から生まれる形は、おのずと似てくるものです。

例えば、スポーツカーの形が速く走れる関係性を追って進化したチーターの曲線的でしなやかな形に似ているように、上手に表現された形は、そのものが生み出そうとしている関係性を雄弁に語り出します。関係性から形を見つけるプロセスは、自然界の形が生成されるルールと同じです。自然で美しいデザインの原型はすでに別の現象の中に存在していて、あなたが見つけるのを待っているのです。

Photo (左) : Trunk(2013)
「理想の花器は、花と一体化するはず」という発想から、本物の樹皮から型を取った花器。活けることで花と花器の境界が曖昧になり、接ぎ木のように一体化する。樹種は作陶で使う薪木の樹種から選んだ。フラワーデザイナーの川原伸晃くんとのコラボレーション。
Collaboration : Nobuaki Kawahara & REN

Photo (右) : Nikkei BP Marketing Award Trophy 2015(2015)
コンピュータの物理演算により「爆発」の瞬間をシミュレーションし
3Dプリンタで出力した、日経マーケティングアワードのトロフィー。デザイン賞らしく、クリエイティビティの爆発を表現した。新技術によって可能になった新しい表現。
Client : 株式会社日経BP

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NOSIGNER

social design for evolution\1ソーシャルデザイン。デザインで社会変革をどんどん実験して、もうちょいマシな未来にしたい。\2進化思考。生物進化のプロセスから発想する方法を伝えて、村に1人(1/2000人)は社会を進化させる変革者になってる状況を作りたい。

デザインと革新

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