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共通のルールを理解し バックする

デザインストラテジストとして、今まで多様な職種の人と仕事を共にしてきました。指揮者、研究者、お坊さん、IT経営者など、様々な分野のプロフェッショナルと仕事を共にする中で、この仕事がスリリングで面白いのは、多くの場合、相手の領域について自分がほとんど知らない段階から関わりはじめるところです。こちらは素人にもかかわらず、専門家に対して表現のプロとして戦略的なアドバイスをするのですから、かなりの理解力と勘の良さが要求される仕事ともいえるでしょう。ここでも、クオリティとフィロソフィに分けて考える方法が活かせます。

その分野を捉える勘を働かせる上で大切なのが「観察する眼」です。どの領域にも型が存在します。それは、その分野に関わる者だけが知る共通のルールであり、その上でクオリティを判断しているのです。ですから、デザイン戦略に関わるには、まずそのルールが何なのか、深く理解する必要があるのです。まずは、どんな文脈が背景にあるのか、何が「良い」とされる基準なのか、クオリティのものさしを合わせること。そこがプロと話を進める時の最初の共通言語となります。

そうして一度ルールを理解したら、ハッキングする視点で、敢えてルールを読み替えてみましょう。それはフィロソフィの更新ともいえます。クオリティの基準となるルールを満たしさえすれば、その表現方法は、何も一般的な手法でなくてもいいのです。例えば航空機械学科の入学案内をつくるなら、どんな表現が響くでしょうか。もしかしたらタイポグラフィをつくるときに、巨大なアルミの塊をドリルで削り出したり、ナノ技術でミクロの印刷をしたりするほうが、もっと学生の興味を引く表現になるかもしれません。

相手に寄り添って、クオリティの基準を理解しつつ、フォローすること。そして、ルールを読み替えてジャンプし、斬新なフィロソフィを生み出すこと。クリエイティブなアイデアは、基準のハックから生まれます。

Photo : AMECH(2014)
早稲田大学 機械科学・航空学科の入学案内のデザイン。
学生が自分の力でものをつくり出せるようになるという感覚を得られる表現にするため、彼らの工房が備えている様々な加工道具の一部、3D切削・3Dプリント・ナノテクノロジー・高出力レーザーカッターを用いてタイポグラフィをデザインした。
Client : 早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空学科

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NOSIGNER

social design for evolution\1ソーシャルデザイン。デザインで社会変革をどんどん実験して、もうちょいマシな未来にしたい。\2進化思考。生物進化のプロセスから発想する方法を伝えて、村に1人(1/2000人)は社会を進化させる変革者になってる状況を作りたい。

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