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経験なんか気にしないまずやってみる

あなたは経験のない仕事を求められたら、どうしますか。最初に伝えたい話は、どうやって仕事をはじめるかの話です。独立するのでも、就職するのでも、アルバイトであっても、誰にでも仕事の最初があるように、オリンピック選手でも、超一流の料理人でも、もちろんデザイナーでも、最初は全員未経験者です。未経験の仕事はやったことがないからできないと断る人もいるし、不安を隠しながら引き受ける人もいるでしょう。僕がおすすめするのは「頑張るのでやらせてください。やったことはないのですが!」と、初心者である自分をさらけ出して、素直に挑戦してみること。すると相手は少なくとも、一緒にやるかを検討してくれます。直球でぶつかってきたあなたを信用して任せてくれるかもしれないし、もし任せてくれなかったとしても悪い気はしないはずです。

僕が大学院生の頃に徳島の木工職人さんと知り合った時、そう彼らに伝えたことから、僕はプロダクトデザイナーになりました。初めて家具の図面を描いてみると、案の定「この図面は読めんわ。家具の構造、知らんのやなあ」と、ショックな一言。ボロクソにいわれて、そこから図面を猛勉強しました。そうやって段々と信頼関係ができ、その翌年から彼らは僕を徳島県の木工プロデューサーに選んでくれました。同じ頃、僕の友人の研究者が困っていました。4日後に迫る東京大学先端科学技術研究所のイベントで配るリーフレットをつくり忘れていたのです。それが僕にとって最初のグラフィックデザインの仕事になりました。2日でデザインして、印刷が間に合わないのでコピー屋さんで刷った、ギリギリの仕事でした。その時のご縁で、先端研の様々なデザインディレクションをさせていただくようになったのだから、人生何がきっかけになるか、分からないものです。

経験の少なさを気にしていたら、そこに停滞してしまいます。目の前にやってみたいことがあるならば、ひるまず打席に立つこと。フォームは打とうとしているうちに身につきます。

Photo : Cartesia(2007)
徳島で出会った本林さんに家具を教わりながらつくった、2つの方向に動く魔法の引き出し。Wallpaper*誌はこれを「世界一美しい引き出し」に選んでくれた。
Client : 本林家具株式会社


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